マイケル・ジャクソンの思想

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池田信夫氏の「『集団線量』というナンセンス」というナンセンス

池田信夫氏が、「『集団線量』というナンセンス」という記事を書かれた。要は、私が、クルクルパーだ、ということなのだが、どこをどう読んでも、何を批判されているのか、全くわからなかった。

池田氏は、私の記事を「安冨氏は、東大教授のくせに中学の理科レベルの計算もできないらしい。彼の計算は、重量ベースに変換するとこういうことだ」とこき下ろして、以下のようにその「変換」をしてみせる。

============
暫定規制値の野菜をどれぐらい食えば死ぬかは、

総摂取量=人×摂取量

で計算しないといけない。何人・kgで一人死ぬか、という係数をαとするとα=15000だから、一人が年間15tの野菜を食うと死ぬので、1000人が年間15kgの野菜を食うと一人が死ぬ。
============

私がわからないのは、これで、どこが間違ってるのか、全くわからないのである。線形閾値なし仮説を前提とすれば、これで何ら問題がない。

ところが池田氏は、

============
これが正しくないことは、いうまでもないだろう。
============

と言うのである。私は、本当に驚いてしまった。なぜ正しくないのかというと、

============
ある人の食った野菜は別の人の健康に何の影響も及ぼさないので、その摂取量は集計できないからだ。
============

というのである。

もちろん、池田氏は「線形閾値なし仮説」を受け入れていないのだから、本人がそう言うのは構わない。しかしここで彼がやっているのは、「線形閾値なし仮説」を前提とした私の議論の変換である。この前提を維持したまま変換したのであれば、注目しているのは野菜の量そのものではなく、野菜に含まれる放射性物質がもたらす線量当量合算値(の見かけの代表としての野菜の量)なのであるから、集計して良いのである。

というのも、線形閾値なし仮説というものは、

「ある集団の人間の線量当量合計値」と「その集団に発生する癌死という現象の発生確率」とが、比例関係になっている、

という説だからである。ところが池田氏は、

============
こういう荒唐無稽なことを書くのは、彼が集団線量という概念を理解していないことを示している。
============

という。彼が荒唐無稽と思うのは勝手だが、これが線形閾値なし仮説というものなのであるから、それを前提とすれば、これで正しい。この池田氏の記事によって明らかになったことは、私がクルクルパーだ、ということではなく、池田氏が線形閾値なし仮説を、理解していない、ということである。彼はこの仮説を頭ごなしに否定しているが、否定するためには、理解しなければならない。それができていない以上、彼の否定も無意味である。

何度も言うように、相手の言うことを理解する、という態度は、議論の大前提である。池田氏は、この大前提を常に無視する。そうなると、単に、言い争いにしかならない。私は、言い争いをする気はないので、これ以上、彼の発言に応答する気はない。池田氏には、言い争いをやめて、議論へと移行していただきたいと、切に願う。

それと共に、この出来事を他山の石として、私自身もまた、相手の言っていることを、理解せずに応答するということをしてはいないかと、反省していきたいと思う。見解を異にする人の文章を読むときには、往々にしてこういうことをしてしまいがちだからである。

念のため、池田氏が私と並べて「犯罪者」呼ばわりしたお陰で、最近、知り合うことのできた早川由紀夫氏に見てもらったら、

============
池田さんは、放射線障害が確率的に発症するものであり、線量と発生に比例関係があるとする考え方が理解できていないのだろうと思います。つまり期待値を計算するなというICRPレベルまでも到達してないと思います。
============

とのことであった。また、私が行った極めて大雑把な見積りについて、

============
1万5000人で4人死ぬのは、野菜がすべて500ベクレル/キロの場合ですね。じっさいにはその1/100くらいでしょうから、150万人に4人が死にます。私たちによる福島米の計算結果と同じ桁だと判断します。
============

と評価された。私もこの水準だと思う。言うまでもないが、規制値内の野菜を食べて、150万人に4人死ぬ、という情報は吉報である。ちなみに早川さんらの見積りによる、今年とれた福島米を食べて死ぬ人の数は2人である。いずれも少なすぎて、決して統計的には補足されないので、誰が原発のせいで死んだかは、わからない。また、怖がって米や野菜を口にしないのは、全く不合理だと、私には感じられる水準である。

ただ、セシウム付きの野菜は、どんなに微量でも、気分は悪い。それゆえ、こういうものを出まわらせるのは、「日本の食物」というものへの不信感を拡大し、そのブランド価値を破壊し、そういうものを放置する政府・東電や、そういうものを生産する生産者への不信感を拡大し、その社会的経済的悪影響が極めて大きいから、できるだけ厳しい水準を設定して、十分な補償をして、作付けをやめさせるべきだった、というのが私の考えである。

特に、海外の人が抱いていた「日本」という国のブランド価値は、「清潔」「美しい」「安全」「正直」というものであって、これが超ウルトラ高齢化社会を迎える今後の日本にとっての、最大の利益の源泉であった。原発事故はそれを大きく傷つけてしまったのだが、それを少しでも回復させるためにも、この程度のコストは、支払うべきであったと思う。あとから、

「日本の食べ物は安全です!」
「原発事故はもう収束しました!」
「東日本は安全です!」

と、いくら叫んでも、「イメージ」というものは、取り戻せない。たとえ多少回復したとしても、それは既に変化してしまったイメージであって、それ以前のイメージとは同じではない。

最期に、早川氏から、以下の一般的忠告が流れていたが、それも拳拳服膺していきたいと思う。

============
ひとを批判するときは、自分に誤読がないかよほど注意してからやれ。その注意ができないやつは、ひとを批判しないのがよいだろう。批判すると、愚かを露呈する。
============
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  1. 2012/02/02(木) 00:35:24|
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  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:5
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コメント

池田さんが言いたかったことについて

池田さんは、「線形閾値なし仮説の正否」や「線形閾値なし仮説の意味」を問うているわけではないと思います。
下記の池田さんのコメントにもあるように、たとえ安冨さんが線形閾値なし仮説に沿って論理的に正しいことを言っていたとしても(池田さんもソノ部分に関しては論理的に正しいことを言っているのだと認めているのだと推測いたしますが)、
  「150万人に4人が死にます」のようなことを言わない方が良い
と言っているのだと思いますが、いかがでしょうか? 
------------------------
わけのわからない論争が続いているようですが、問題はLNT仮説の正否ではなく、集団線量をリスク評価に使ってはいけないということ。追記2に書いたように、LNTを採用しているICRPでさえ集団線量を使うなと警告している。
追記2:ICRPも次のように警告している:「集団実効線量は,最適化のための,つまり主に職業被ばくとの関連での,放射線技術と防護手法との比較のための1つの手段である。集団実効線量は疫学的リスク評価の手段として意図されておらず,これをリスク予測に使用することは不適切である。長期間にわたる非常に低い個人線量を加算することも不適切であり,特に,ごく微量の個人線量からなる集団実効線量に基づいてがん死亡数を計算することは避けるべきである」
  1. 2012/02/02(木) 23:23:34 |
  2. URL |
  3. アサト #-
  4. [ 編集 ]

なぜ?

ここで私は「LNT仮説」の正否を問題にしているのではなく、「池田氏のLNT仮説の理解」の正否を問題にしているのです。
あなたが、こういうことを、お書きになりたい理由を教えて頂けませんか。

それに、ある命題の意味を問わないで、否定や肯定をできる、とお考えのようですが、それはどうやってやるのでしょうか?
  1. 2012/02/03(金) 09:49:30 |
  2. URL |
  3. yasutomiayumu #-
  4. [ 編集 ]

なぜ?についての回答

>あなたが、こういうことを、お書きになりたい理由を教えて頂けませんか。
私がコメントした理由についてご説明いたします。

>池田信夫氏が、「『集団線量』というナンセンス」という記事を書かれた。
>要は、私が、クルクルパーだ、ということなのだが、どこをどう読んでも、何を批判されているのか、全くわからなかった。
と書かれていますが、池田さんの批判の一つに
  集団線量をリスク評価に使ってはいけないということ
があるのだと思い、その点について安冨さんがどのような見解をお持ちなのかを知りたかったからです。

>それに、ある命題の意味を問わないで、否定や肯定をできる、とお考えのようですが、それはどうやってやるのでしょうか?
ある命題の意味を問わないで、否定や肯定をできるとは考えておりません。
  1. 2012/02/03(金) 22:59:16 |
  2. URL |
  3. アサト #-
  4. [ 編集 ]

Re: なぜ?についての回答

ご丁寧に、ありがとうございます。

> と書かれていますが、池田さんの批判の一つに
>   集団線量をリスク評価に使ってはいけないということ
> があるのだと思い、その点について安冨さんがどのような見解をお持ちなのかを知りたかったからです。

そのように、池田さんは、どこで仰っておられますでしょうか。
私は、ICRPが、こういう計算をしないでね、と言っているのは、閾値を暗黙のうちに認めていることを、意味していると思います。このお願いは、放射線防護業界の人向けであって、素人には関係ありませんから、私は、危険性を見積もるために、計算をします。

それから、閾値の有無については、少なくとも自己修復機能は、理由にならない、と考えています。なぜなら、自己修復機能を担う機構もまた、遺伝子の上に、記述されているからです。そこを、放射線でやられて、修復機構が暴走したら、自己破壊機構になってしまうので、非常に怖い、と思うからです。ところが、専門家とされる方々の議論に、この点への言及が見られないことに、疑問を感じています。そういう問題を論じている研究をご存知の方があったら、勉強したいので、ぜひとも教えてください。


> >それに、ある命題の意味を問わないで、否定や肯定をできる、とお考えのようですが、それはどうやってやるのでしょうか?
> ある命題の意味を問わないで、否定や肯定をできるとは考えておりません。

とすると、池田さんは、線形閾値なし仮説を、否定も肯定もできない、と考えざるをえないのではないでしょうか。
  1. 2012/02/03(金) 23:41:54 |
  2. URL |
  3. yasutomiayumu #-
  4. [ 編集 ]

Re:Re: なぜ?についての回答

安富さん

>このお願いは、放射線防護業界の人向けであって、素人には関係ありませんから、私は、危険性を見積もるために、計算をします。

それは違うと思いますよ。
「ICRPが、こういう計算をしないでね」と言っている、その「お願い」とは、放射線防護の専門家にとっては常識でしょうから、放射線防護業界向けではなく、安富さんのような素人が誤解しないようにという「お願い」でしょう。
  1. 2012/02/10(金) 23:21:11 |
  2. URL |
  3. fujiwara #-
  4. [ 編集 ]

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