http://namba.keizai.biz/headline/1934/この講演会に言ってきた。アレイダさんは、南相馬など、被災地にも行かれた。彼女が心配していたのは、東北各地の被曝水準だと、長期的影響云々以前に、もっと早く色々な症状が現れるのではないか、ということであった。いわゆる「ぶらぶら病」のような症状のことだと思われる。
アレイダさんは、素敵な笑顔の人であった。きっとあの笑顔が、チェ・ゲバラの最大の武器だったのであろう。
しかし、アレイダさんは、ちょっと太っていた。それは当然だと思う。「チェ・ゲバラの娘」という重圧の下で、チェ・ゲバラの庇護なしに暮らすのは、大変なストレスであろうから。それに、キューバに行くと、いたるところ、ゲバラの肖像だらけらしい。自分の父親の肖像で埋め尽くされた国に暮らすなんて、一体、どんなプレッシャーなのだろうか。
さて、ゲバラについて少し書いておきたいことがある。
ゲバラは、キューバ革命後、引き続きラテンアメリカで革命を起こすために、ボリビアに潜入し、見事失敗して1967年に銃殺された。CIAの要請でオルトゥーニ大統領が殺害指令を出したという。
本当にアメリカは、馬鹿な事をしたものだと思う。なぜならこの39歳の男を殺すことで、真の英雄にしてしまったからである。生きたままアメリカに連れて行って、贅沢三昧させて、セレブリティにしてしまえば、人間であるから、色々ヘマをして、評判を落とすこともあったであろうに。
日本でも、英雄チェ・ゲバラの名声は、かなりのものである。アレイダさんの講演会にも、若い人が詰めかけていた。今後、日本の世代間所得格差が拡大していくにつれて、ますます、ゲバラの人気は高まるであろう。
南米におけるゲバラの人気は、人気などという水準ではないらしい。上は、ビクトル・ハラの作曲した「チェのサンバ」という名曲だが、これを聞いて画像を観ているだけで、何の関係もない私でさえ、ゲバラのファンになってしまうくらいだ。こういう凄いコンテンツが南米のあちこちで溢れかえっているので、ほぼ全人民がゲバラを愛しているらしい。
http://ameblo.jp/saboko-nord/entry-10050707477.html上のアドレスをクリックすると、銃殺されたゲバラの遺体の写真が見られる。その写真の下に、マンテーニャの「死せるキリスト」という絵画が掲載されているのだが、両者は本当にそっくりなのである。このイメージによってゲバラは、「赤いキリスト」となった。カソリック信仰の強い南米で、このイメージは強烈な影響力を持っている。
そういうわけで、アメリカはゲバラを殺して、「赤いキリスト」を産み出してしまったのである。そのお陰で、徐々に社会主義は南米で勢力を伸ばし、 ドミニカ、ニカラグア、ベネズエラ、 ボリビア、エクアドル、ブラジルなどが、選挙を通じて社会主義政権を樹立した。南米の大勢は社会主義であり、その勢いは拡大する一方である。
そして、その影響は、徐々にアメリカに及んでいる。なぜかというと、アメリカ人の最大のマイノリティが、ラテンアメリカ移民だからだ。しかも急速に増えている。オバマが大統領になった大きな理由は、ラテンアメリカ系の支持を得たからだ。次の大統領選挙では、その影響力は更に強まるであろう。
多くが貧困層にいる彼らの求める政策は、福祉や教育の充実であり、軍備の拡大や世界戦略の遂行ではない。それゆえ、アメリカは必然的に、社会民主主義的政策へと移行せざるを得ないだろう。破綻した財政で両方を維持することはできない。そうなると、巨大な軍備を保持するのは不可能になるにちがいない。
そうすると、アメリカは、モンロー主義に回帰することになる。それがいつ、どの規模になるかはわからないが、長期的には、そうせざるを得ないし、また、そうすることで得られる利益が大きい。なぜなら社会主義政策をとる南米は、急速に成長しているからだ。その成長の果実を分けてもらうことで、アメリカは巨大な利益を確保できる。
そうすると、日米同盟など、いつまで続くのか、知れたものではない。完全撤退はしないとしても、中国の脅威になどかまっていられずに、勢力を縮小する可能性が高い。というより、長期的にはそうせざるを得ないだろう。
そうなったときに、どうやって東アジアの安定を確保するか、今のうちに日本は真剣に考えないといけない。中国に対抗して核武装などという、寝ぼけた時代遅れの政策は真っ先に除外して。
チェ・ゲバラの影響は、ひしひしと我々にも及んでいるのである。
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- 2011/08/05(金) 23:25:12|
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| コメント:2
「東アジア共同体」案は少なくとも荒唐無稽な妄想ではないのでしょうね。
- 2011/08/06(土) 09:33:11 |
- URL |
- のもと #79D/WHSg
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素敵な記事、うっとりと拝見いたしました。
独占・支配・戦争などというおぞましい世界が、砂上の楼閣のように足元から崩れさるのが目に浮かびます。
虐げられていた人々の笑顔が、一日も早く実現できることを願ってやみません。
- 2011/08/06(土) 10:59:02 |
- URL |
- kyuubajinn #79D/WHSg
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