fc2ブログ

マイケル・ジャクソンの思想

You Are Not Alone: 誰が一人でないのか?(3)

You are not alone の(1)はどこにあるのか、というコメントを頂いたので、見直してみたら、アップするのを忘れていたのであった。で、その下書きを元にしてこれを(3)として、(2)と(3)とを、(1)と(2)とに繰り上げた。申し訳ない。



==============



==============
【社会の混乱と不正について】Scream
【被害者の怒りについて】They Don't Care About Us
【狂った社会の中で正常を維持する方法について】Stranger In Moscow
【狂気との戦いについて】This Time Around
【狂った社会による地球の破壊について】Earth Song
【「正常者」の生態について】D.S.
【金に操られる者の生態について】Money
【狂った社会の中では正常者が狂人に見えることについて】Come Together
【狂気の原因である失われた恋愛を取り戻す方法について】You Are Not Alone
【狂気の原因である失われた幼児期を取り戻す方法について】Childhood
【社会を狂わせるマスコミについて】Tabloid Junkie
【「正常者」との戦いについて】2 Bad
【「独裁者」の生態とその悪影響について】History
【幼児虐待の犠牲者について】Little Susie
【魂の脱植民地化について】Smile
==============


上の画像は、韓国でのツアーの映像だそうである。この演出から見ると、コンサートの前半部分における、 Heal the World の役割を担っていることになる。この演出は、PVからすると非常に意外であるが、ここだけ見れば、全く違和感がない。つまり、この歌は、マイケル思想のギュウギュウに詰まった、複雑な内容を持つ歌だということになる。

この演出では明らかに、「女の子の生贄」は行われていない。そして、You are not alone あなたは一人ではない、というメッセージは、テータム・オニールに向けたものではなくなっている。ここでは、世界中の、一人ぼっちで苦しんでいる、すべての人々に向けられている。

ここにもまた、個人的な経験を、普遍に深めて考え、表現する、というマイケル・ジャクソンの基本的な姿勢が表現されている。この深められた層からこの曲の歌詞を見ると、また別の意味を見出すことができる。


=================
Another day has gone
I'm still all alone
How could this be
That You're not here with me
You never said goodbye
Someone tell me why
Did you have to go
And leave my world so cold

また一日が過ぎて行った。
私は未だにまったく一人だ。
どうしてこんなことが、起きえたのか。
あなたが私と共にここに居ないなんてことが。
あなたは、さよなら、を言わなかった。
なぜあなたが、私のもとを去って、
私の世界をこんなにも冷たくせねばならなかったのか、
誰かその理由を教えて。
=================

マイケルがこの世界を去ったあとでこの歌詞を読めば、誰もが思うことは、これはマイケル・ジャクソン・レクイエムではないのか、ということである。


=================
Everyday I sit and ask myself
How did love slip away
Something whispers in my ear and says
That you are not alone
For I am here with you
Though you're far away
I am here to stay

毎日私は座って自問する。
どうして愛がすり抜けていったのか。
なにかが私の耳元でささやいて、こう言う。
あなたは一人ではない。
なぜなら私があなたとここに居るから。
たとえあなたが遠く離れていても、
私はここに、あなたと共にいる。
=================

この箇所は、マイケルを愛する者が、マイケルが去って呆然自若としているところに、耳元に彼の声が聞こえる、という様子に見える。

=================
You are not alone
I am here with you
Though we're far apart
You're always in my heart
You are not alone

あなたは一人ではない。
私はあなたとここに居る。
たとえ私たちが遠く離れ離れでいても、
あなたはいつも私の心の中にいる。
あなたは一人ではない。
=================

そしてこの箇所は、極めて普遍的な、一人苦しむ者へのマイケルの呼びかけである。


=================
All alone
Why, oh

まったく、一人。
なぜ、ああ。。
=================

この箇所は、全人類が、孤独に苦しむことへの、マイケルの嘆きととれる。


=================
Just the other night
I thought I heard you cry
Asking me to come
And hold you in my arms
I can hear your prayers
Your burdens I will bear
But first I need your hand
So forever can begin

つい、先夜。
あなたが叫んでいるのを聞いたように思った。
私に来るように頼んでいる。
そして私の腕にあなたを抱きしめるようにと。
私にはあなたの祈りが聞こえる。
あなたの重荷は私が背負おう。
しかしまずはあなたの手を取りたい。
そうすれば永遠が始まる。
=================

これもまた、ひとり苦しむ者への、マイケルのメッセージである。


=================
Whisper three words and I'll come runnin', and I,
And girl you know that I'll be there!
I'll be there!

あの三つの言葉(=I love you)を囁いて。そうすれば私は飛んでいく。そして、
私と、ああ、わかるだろう、私はここにいる!
私はそこにいる!
=================

"I love you, Michael!"
"I love you, too!"

というのは、マイケルファンがマイケルに向かって叫び、それにマイケルが必ず応えるパターンである。この箇所はまさにその応答を表現している。

=================
You are not alone, you are not alone.
Say it again, you are not alone, you are not alone.
Not alone, Not alone!
You just reach out for me girl in the morning in the evenin'
Not alone, not alone, you and me, not alone, Oh!
Together, together,
God done being alone, god done being alone.

あなたは一人ではない、あなたは一人ではない。
もう一度、言おう、あなたは一人ではない、あなたは一人ではない。
一人じゃない、一人じゃない!
あなたはただ、私の手の届かないところにいる(girl)、朝も、夕べも。
一人じゃない、一人じゃない、あなたと私と。一人じゃない。ああ!

=================

これもまた、マイケルから孤独な者へのメッセージである。


=================
Together, together,
God done being alone, god done being alone.

共に、共に、
何ということを神はなさったのか。一人でいるなんて。何ということを神はなさったのか。一人でいるなんて。
=================

この箇所は、実は、ちゃんと訳せていない。"God done being alone" というのが、よく意味が分からないのである。"god done" を検索していみると、以下が引っかかった。

=================
Westminster Leningrad Codex כִּי לֹא־נַחַשׁ בְּיַעֲקֹב וְלֹא־קֶסֶם בְּיִשְׂרָאֵל כָּעֵת יֵאָמֵר לְיַעֲקֹב וּלְיִשְׂרָאֵל מַה־פָּעַל אֵל׃
口語訳 ヤコブには魔術がなく、イスラエルには占いがない。神がそのなすところを時に応じてヤコブに告げ、イスラエルに示されるからだ。
World English Bible Surely there is no enchantment with Jacob; Neither is there any divination with Israel: Now shall it be said of Jacob and of Israel, What has God done!
文語訳 ヤコブには魔術なしイスラエルには占卜あらず神はその爲ところをその時にヤコブに告げイスラエルにしめしたまふなり

http://kky.4j4u.net/Bible/Num/23/23
=================

この旧約聖書の箇所では " What has God done" というのは、「神がそのなすところ」である。それでは意味が通じないので、"God done" を ""What has god done!" の意味にとって、しかもこれを「神はなんてことをしたのか」という意味に訳しておいた。とはいえ、これで正しいかどうか、わからない。

しかし、マイケルの思想からすると、人が、ひとりぼっちである、というようなことは、この世界にとってあり得ないことなのである。世界は、ひとつながりであり、ひとつの出来事が複数の何かを引き起こし、それがまた何かを引き起こし、という複雑な因果連鎖によってなりたっている。そのある箇所が「私」である以上、「私」が世界から切り離されてひとりぼっちである、ということは、あり得ない。それゆえ、神はあなたを一人にすることなどできない。それゆえ、マイケルは、

You are not alone

と孤独な全人類に向かって呼びかけるのである。

(了)
スポンサーサイト



  1. 2011/10/02(日) 22:30:56|
  2. ブログ
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:4
<<10/02のツイートまとめ | ホーム | 09/30のツイートまとめ>>

コメント

1 ■やはり聖書は影響している

楽しく読ませて頂きました。
マイケル・ジャクソンは最終的には何教だったか知りませんが、やはり聖書は歌詞や思想に影響していますよね。
ちゃんと考えてみると面白いと思いました。
  1. 2011/10/03(月) 00:33:46 |
  2. URL |
  3. かさやん #79D/WHSg
  4. [ 編集 ]

2 ■聴くたびに、不思議でした。。

誰か特定の人に向けての歌のようでもありますが、何かもっと深い意味がありそうにも感じていました。
レクイエムとして聴くと、すんなり納得できるものがありますね。
やはり普遍的な意味が籠められているマイケルらしい歌なんだと改めて思いました。
残りの歌の解釈も楽しみにしています!
ありがとうございました☆
  1. 2011/10/04(火) 09:03:23 |
  2. URL |
  3. ☆まみ☆ #79D/WHSg
  4. [ 編集 ]

3 ■神様~の訳

英語あまり得意ではありませんが
God done being alone.
は「神は一人ぼっちを成し遂げる」で
歌詞的に言えば
「一人ぼっちで平気でいられるなんて、神様だけだよ」
っていうような意味のように感じているんですが
全然見当はずれかもですが、失礼しました。
  1. 2011/10/10(月) 18:45:58 |
  2. URL |
  3. ハピー #79D/WHSg
  4. [ 編集 ]

4 ■ありがとう

 恋愛の別れを歌ったのではない、人間は一人で生きているようであっても そうじゃない。みんな繋がって 共に生きているんですね。
平和な世界をと 1日少しでも祈りを捧げれば 思いが1つになって 世界が変わるんじゃないかな。と思いました。 「祈り」って何よりも 強い ということを聞いたことがあります。宗教なんて関係ない 祈る  って そう難しいことじゃない
心を沈めて 集中して 心を込めて できる。
  1. 2012/01/21(土) 21:53:33 |
  2. URL |
  3. gest #79D/WHSg
  4. [ 編集 ]

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

トラックバック URL
http://anmintei.blog.fc2.com/tb.php/690-655bb907
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

最新記事

最新コメント

カレンダー

04 | 2023/05 | 06
- 1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30 31 - - -

プロフィール

yasutomiayumu

Author:yasutomiayumu
FC2ブログへようこそ!

アクセスランキング

[ジャンルランキング]
その他
103位
アクセスランキングを見る>>

[サブジャンルランキング]
その他
94位
アクセスランキングを見る>>

全記事表示リンク

全ての記事を表示する