この事件が起きたとき、私はイギリスにいたので全然知らなかった。数年経って、無罪判決が出たときに、はじめて事件の内容を知って非常に驚いた。
被害者は、父親が東大⇒東電、母親が有名な女子大出身という典型的エリート家族で、本人も慶応大学経済学部⇒東電の39歳の女性であり、拒食症で痩せほそった肉体で1日4人以上をノルマとして毎晩売春してそれを克明に記録し、終電で帰宅するという生活をしていて殺された、というのであるから。その上、家族(母親と妹)や、東電の社員が知っていた、というのである。しかも犯人とされたネパール人は、冤罪の可能性が高いというのであるから、十重二十重の闇である。
そのあと、まったく意識から消えていたので、下の記事で、逆転有罪になっていたことに驚いた上で、更に別の人物がいた証拠まで出てきて驚いた。まことに、驚くことの多い事件である。
この記事が出て思い出したのだが、
「東大」
「東電」
「冤罪」
という三題噺は、ちょうど今回の原発について私がブログで書いてきたことと被っている。おそらくこれは偶然ではなかろう。これが日本社会の中枢部分の核心なのであり、その暗部が、このあわれな女性を通じて噴出したのが、この殺人事件だったのであろう。
ちなみに、拒食症と売春癖とは共に、何らかの虐待被害と関連しているケースが多いと私は認識している。この女性がこのような事態に至った社会的・家族的背景の解明は、日本社会が、今回の事故を乗り越える上でも、意義が大きいと私は感じる。
東京電力という組織の周辺には、「対社会的には、それなりに機能していて、表面的には内情が分からない」タイプの「機能不全家庭」が渦巻いていて、それが組織のこれほどの機能不全と相互強化している、と私は推測するのである。この事件の遺族や関係者が、そのような勇気を持ってくだされば、ありがたいのだが。。。。
尚、赤城高原ホスピタルというところのHPに、摂食障害について以下のように書かれている。
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背景としての機能不全家庭-トラウマ ]
摂食障害患者が、機能不全家庭の女子に多く発症することは経験的事実です。「機能不全」とはいっても、対社会的には、それなりに機能していて、表面的には内情が分からない場合も少なくありません。
単に機能不全というばかりではなくて、中等度以上の摂食障害患者は、性的被害を受けていることが少なくありません。時には、これが発病契機や原因的要因になっています。幼児期の性虐待のほか、レイプ被害も多く、時には学校の先生や、治療者、カウンセラーからの性的被害もあります。このことは、男性摂食障害者についてもあてはまります。摂食障害と性的被害の関係を否定する専門家もいるようです。軽症患者では両者の関係が必ずしも強くないこと、性的被害が自由に発言できるような治療環境(情報量、集団療法、自助グループなど)かどうか、などの要因が関係していると思います。
また摂食障害者は、家庭環境に加えて、学校環境からもストレスを受けていることがあります。たとえば、いじめ、受験競争、海外でのストレス体験などです。
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それから売春をする人には性依存症が多く、それもまた、性的虐待が原因になっている場合が多い。たとえば、週刊誌だが、週刊ポストで和田秀樹氏が次のように述べている。
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単に「性的に放縦な人間」と見られることも少なくない「セックス依存症」だが、ギャンブルやアルコール、薬物など他の依存症と同じく、自らの空虚感を強迫観念に基づく性的行為でしか埋められないという非常に厄介な精神疾患なのである。精神科医で国際医療福祉大学大学院教授(臨床心理学専攻)の和田秀樹氏がいう。
「セックス依存症に悩む女性たちの多くは、過去の恋愛がトラウマになっていたり、幼い頃に肉親からの愛情に恵まれなかったり、虐待にあっていたりという辛い体験を持っています。彼女たちは“本当に自分が心から愛された経験がない”などと、満たされない思いを感じている場合が多く、セックスの快楽が一時的に恐怖や不安からの避難所となっている。
そのため、目の前の快楽を我慢しようという欲望を抑える精神のメカニズムがうまく機能していないのです。まず男性には、依存症が本人にとってとても深刻な病気であることをぜひ知ってほしい」
国内には複数の自助グループがあり、定期的にミーティングが開催されている。しかし、依存症から克服できたと笑顔で脱退する女性は、およそ2割だという。この精神の悩みはメスではどうにもできない。本人の継続的な治療の意志はもとより、パートナーや周囲の理解が不可欠である。
※週刊ポスト2011年5月20日号
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東電OL事件、再審の可能性…別人DNA検出
読売新聞 7月21日(木)3時1分配信
東京都渋谷区で1997年に起きた東京電力女性社員殺害事件で、強盗殺人罪により無期懲役が確定したネパール国籍の元飲食店員ゴビンダ・プラサド・マイナリ受刑者(44)が裁判のやり直しを求めた再審請求審で、東京高検が、被害者の体から採取された精液などのDNA鑑定を行った結果、精液は同受刑者以外の男性のもので、そのDNA型が殺害現場に残された体毛と一致したことがわかった。
「(マイナリ受刑者以外の)第三者が被害者と現場の部屋に入ったとは考えがたい」とした確定判決に誤りがあった可能性を示す新たな事実で、再審開始の公算が出てきた。
この事件でマイナリ受刑者は捜査段階から一貫して犯行を否認。同受刑者が犯人であることを直接示す証拠はなく、検察側は状況証拠を積み上げて起訴した。
2000年4月の1審・東京地裁判決は「被害者が第三者と現場にいた可能性も否定できない」として無罪としたが、同年12月の2審・東京高裁判決は逆転有罪とし、最高裁で03年11月に確定した。
マイナリ受刑者は05年3月、東京高裁に再審を請求した。
同高裁は今年1月、弁護側からの要請を受け、現場から採取された物証についてDNA鑑定の実施を検討するよう検察側に求めた。これを受け、東京高検が精液などのDNA鑑定を専門家に依頼していた。
最終更新:7月21日(木)3時1分
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- 2011/07/21(木) 11:00:22|
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