海を7度も温めることは、
猛烈な生態系の破壊である。クエの養殖はできなくなるかもしれないが、浜岡の元来の豊かな生態系が帰ってくるから、それを商売にする道を考えるべきである。
なのに多くの新聞が、海水を温めることが、まるで原発の恩恵であるかのように書き立てるのは、異常である。海をこんなに温める蛮行は、新聞の大嫌いな二酸化炭素を、海中から空気中に出す。それが停止したことは、なぜどの新聞も書かないのか。
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クエが再び「幻の魚」に?浜岡原発停止が波及
浜岡原発から出た温排水を利用して養殖されているクエ
中部電力浜岡原子力発電所(静岡県御前崎市)の全面停止で、「幻の高級魚」とされるクエ(スズキ目ハタ科)の養殖がピンチに陥っている。
浜岡原発から養殖施設に送られていた温排水が止まったためだ。クエは御前崎市の観光名物で、市内の観光関係者は「再び幻の魚に戻ってしまう」と頭を抱えている。一方、温排水の供給停止で、県内沿岸に放流されてきたマダイやヒラメも影響を受けそうだ。
クエはあっさりした上品なうまみが特徴で、「鍋よし、刺し身よし。フグよりうまい」と評される。天然ものは希少で、養殖技術も難しいが、浜岡原発に隣接する県温水利用研究センターが2005年、産卵―孵化
ふか
―育成―産卵の完全養殖に成功。天然ものの約5分の1の価格で出荷されている。
市観光協会などがクエを観光の目玉にしようと働きかけ、08年2月、市内のホテルや旅館などが「御前崎クエ料理組合」を結成、クエ料理の提供を始めた。「高級魚が安価で味わえる」と評判を呼び、観光ツアーも組まれるようになった。
浜岡原発では蒸気の冷却に海水を使っており、排出される温水は、通常の海水より約7度高い。クエは水温が低いと成長が止まるため、温排水がなければ安定生産できなくなり、事実上、養殖は続けられないという。11月からの今シーズンは例年通りの約2000匹を出荷できる見込みだが、来シーズンは途中で数が足りなくなる恐れがある。
市観光協会の小野木邦治局長は「クエ養殖のため『原発を再稼働して』というのは本末転倒。しかし、せっかく定着した観光の目玉が消えてしまうのは寂しい」と顔を曇らせる。
一方、温排水の供給停止で、同センターが養殖しているマダイとヒラメにも影響が及びそうだ。
同センターでは、冬に温排水を使うことで産卵期間を長くし、マダイやヒラメは天然魚の2倍の産卵数を確保している。毎年生まれるマダイ100万~200万匹、ヒラメ65万~80万匹の稚魚は、漁業組合を通じて県内沿岸の海へ放流され、漁獲量の増加に貢献してきた。
同センターは冬に一部の水槽の海水をボイラーで温める予定だが、稲葉義之所長(57)は「単純に考えると稚魚は半分に減るだろう。ボイラーの効果がどこまであるか……」と気をもんでいる。
(2011年5月31日07時55分 読売新聞)
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温水利用の稚魚養殖がピンチ 浜岡運転停止で死滅の恐れ
2011年5月18日 中日新聞
浜岡原発からの温排水を利用し、マダイやヒラメの養殖が行われている県温水利用研究センター=17日、御前崎市で
中部電力浜岡原発(御前崎市)の運転停止が、静岡県の沿岸漁業に深刻な影響を及ぼしつつある。隣接する県温水利用研究センターに、原発から冷却過程で出る温排水が供給されなくなったからだ。センターは温水を利用して稚魚を育て海に放流してきたが、温水の供給ストップで飼育槽の水温が下がる秋以降、稚魚が死滅する恐れがある。 (静岡総局・広瀬和実)
県温水利用研究センターは、浜岡原発1号機着工翌年の1972年10月に開設。原発立地に伴う水産振興として、中電が建設し県に寄付した。県によると、2009年度には、マダイ、ヒラメ、クエなど8種類、計約572万5000匹を育てて放流している。
浜岡原発では、海から取水し、発電機を稼働させるタービンの蒸気の冷却に利用している。この過程で、水温は自然の海水よりも約7度高くなる。海水温が下がる11月から翌年7月にかけ、センターにこの温水が一日1万5000トン送られ、稚魚の飼育に利用している。
浜岡原発が運転停止してから温水の供給は止まったが、平温の自然海水は送られてきている。現状では飼育に支障はないが、11月以降に温水が来ないのは致命的だ。
取水槽から海水を循環させるために動かしていた浜岡原発のポンプも今後、止められる可能性がある。水が循環しなければ水質が悪化し、夏でも魚が死ぬ恐れがある。
一昨年8月の駿河湾地震時にも浜岡原発は一時停止したが、今回の停止は2~3年に及ぶとみられる。中電静岡支店広報担当者は、中日新聞の取材に「ポンプの稼働継続の時期や、今後の対策をどうするかは現在、県と協議中」と話す。センター運営を委託された県漁業協同組合連合会の安井港・指導部長は「このままでは沿岸漁業への打撃は大きい」と困惑している。
県は稚魚の死滅による県内漁業への影響額を11億円程度と単純試算する。県水産業局の日向彰局長は「出荷減による漁業や地域経済への影響も大きい。中電と協議しながら、原発停止を要請した国にも何らかの支援を求めたい」と解決策を探っている。
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クエなくなるの? 浜岡原発停止で養殖ピンチ
2011年5月30日18時47分 朝日新聞
クエ=東海大学海洋科学博物館提供
浜岡原発に隣接する静岡県温水利用研究センター。原発の運転が止まり、温排水の供給が途絶えた=同県御前崎市
菅政権の要請で中部電力浜岡原子力発電所(静岡県御前崎市)が全炉停止し、クエの養殖やマダイなどの放流が危機に追い込まれている。原発からの温排水(おんはいすい)も止まり、稚魚の孵化(ふか)や育成に欠かせない水温調整が出来なくなっているからだ。県は国に対策や費用の負担を求めたいとしている。
温排水は、原発でタービンを回した蒸気の冷却に使った海水。放射能は帯びておらず、水温が海水より約7度高い。毎年11月中旬から翌6月末ごろまで、原発に隣接する「静岡県温水利用研究センター」が毎日各1万5千トンの温排水と海水をもらい、クエの養殖や、マダイやヒラメなどの親魚の飼育、稚魚の孵化・育成に活用していた。
センターは、原発建設に協力して漁業権の一部を放棄した漁業者への補償としてつくられた。中部電が建設し、県に譲渡。県漁業協同組合連合会が運営している。
クエの養殖は、温排水を使って御前崎市が全国で初めて、孵化から育成までの「完全養殖」に成功した。今では市特産の冬の味覚になっている。深海にいる天然ものの漁獲高は少なく、1キロ当たり1万円以上するものもある。
同市の養殖ものは小ぶりだが、温排水が無償提供されるので値段も手頃で、鮮度もいいのが売り。「御前崎クエ料理組合」も結成され、まちおこしの目玉になっている。センターは今年、約4千匹のクエを養殖する計画だ。
しかし、14日に浜岡原発が全炉停止し、センターへの温排水供給も途絶えた。夏に向かう今は海水の温度が上昇してきているので影響は小さいが、水温が下がってくる11月までに対策を講じる必要がある。水温が下がると、えさを食べなくなって親魚の産卵や稚魚の成長が遅れたり、稚魚が死んだりする危険性があるという。
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- 2011/05/31(火) 09:36:56|
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