iPS 細胞を発見した山中教授がなにやら賞を貰ったらしい。iPS細胞は、癌や白血病の治療に画期的な影響をもたらすのではないかと期待されており、福島原発事故はその研究の追い風になると思われる。
しかし、同じ日の新聞が、iPS細胞が拒否反応を起こす可能性を報道した。 これは興味深い内容である。今までは、遺伝情報が同じであれば免疫拒否反応が起こらない、と考えられてきたからである。もし深刻な拒否反応が出るなら、治療への応用が難しくなる。
私は、前々から、遺伝子主義はおかしいのではないか、と考えてきた。なぜかというと、遺伝子は生命の本質なのではなく、生きるという過程で利用されるデータバンクに過ぎないからである。本質は過程の方にあるので、同じデータバンクでも、過程が違えば意味が違ってくる。それはたとえば、
「おまえ、あほか!」
という言葉が、使われ方次第で、罵倒にも、賞賛にも、親愛の情や感謝の表現にもなるのと同じである。同じように、DNA中心ではなく、その使われ方の方に注意を向けないと、生命の本質は理解できず、有効な治療法にも行き当たらない、と私は考えている。iPS細胞に全てを託して更なる金を突っ込むのは、危険である。
原発事故を受けて、医療費を拡充するとすれば、マッサージやあんまやハリや漢方薬や、あるいはアールユベーダなどの代替医療の方ではないかと思う。あるいはそれ以上に、禁煙政策であろう。レストランや公共スペースを完全に禁煙にする法令を出せば、首都圏の放射能被曝による癌の増加分くらい、キャンセルできるはずだ。
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iPS細胞なのに拒絶反応 再生医療応用に課題
2011年5月14日3時1分 朝日新聞
iPS細胞と免疫拒絶反応
さまざまな臓器の細胞にすることができ再生医療の切り札と期待されるiPS細胞(人工多能性幹細胞)の応用に新たな課題が見つかった。従来は患者の細胞から作れば、移植で戻しても免疫拒絶反応は起きないと見られていたが、拒絶反応を起こす可能性があることが米カリフォルニア大研究チームによるマウスの実験でわかった。
14日付の科学誌ネイチャー電子版に掲載される。
研究チームは、マウスの胎児の線維芽細胞から作ったiPS細胞を、まったく同じ遺伝情報になるよう操作したマウスの背中に皮下注射した。遺伝情報が同じなら体が「異物」とみなして免疫拒絶反応を起こすことはないはずだ。ところが、実験では移植した複数のマウスで拒絶反応が起きたという。
iPS細胞の分析では免疫反応に関係する遺伝子が作製の過程で活性化された可能性があるという。
iPS細胞は京都大の山中伸弥教授が開発した。皮膚などの体細胞にウイルスを使って遺伝子を入れる手法で細胞が神経や心臓などさまざまな臓器・組織になり得る状態にリセットできることを示した。治療への応用に向け、目的の臓器・組織にできるかや、効果や安全性の確認が課題になっている。(大岩ゆり)
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「研究続ける励みに」 ウルフ賞受賞の京大・山中教授
2011年5月30日10時26分 朝日新聞
ウルフ賞医学部門を共同受賞した京都大の山中伸弥教授(左)と、米マサチューセッツ工科大のルドルフ・イエーニッシュ教授=エルサレム、井上写す
イスラエルのウルフ財団は29日、ノーベル賞の行方を占う賞の一つとされるウルフ賞の授賞式をエルサレムで開き、医学部門をiPS細胞(人工多能性幹細胞)を開発した山中伸弥・京都大教授(48)に授与した。
山中氏は、記者団に対し、「発展途上の技術を評価していただき、研究を続ける励みになる」と述べ、「iPS細胞を使い、難病治療のための薬を開発、実用化したい」と、今後の抱負を語った。
米マサチューセッツ工科大のルドルフ・イエーニッシュ教授との共同受賞で、賞金計10万ドル(約810万円)が贈られた。
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- 2011/05/30(月) 13:55:20|
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