石橋克彦教授は「原発震災」という概念を1997年に提出し、原発、特に浜岡原発の停止の必要を指摘した人である。
http://historical.seismology.jp/ishibashi/opinion/2011touhoku.htmlこれらの文献は必読。2005年の論文では以下のように指摘している。
============
「日本列島の地震現象を客観的に直視すれば、日本の原発は耐震安全性と使用済み核燃料処理の両面で非常に厳しい状況にある。(中略)産官学癒着の「原子力村」には、水俣病・薬害エイズ・BSE 問題などと同様の腐敗(とくに専門家)の構図がある。膿を出し切って審査の厳正さと透明性を確立しなければ、安全な原発は期待できない。そもそも、過去および将来の震源域の真上に原発を造るべきではない。ところが耐震指針は、どんな大地震でも技術でカバーできるという自然を侮った考え方になっている。」(石橋、2008、59-60)
============
ここには、今回の事故の本質が既に明瞭に指摘されている。その要点は以下である。
(1) 自然を侮っていること。
(2) 産官学の癒着による腐敗の構図があること。
(3) 原子力村は、水俣病、薬害エイズ、BSE問題など、さまざまの同様の構図の一環に過ぎないこと。
(4) 学者が特に問題であること。
これらは、同じ問題のひとつの表現であるが、まずは(2)を炙り出すべきである。
=============
浜岡原発:石橋・神戸大名誉教授「もっと早く止めるべき」
石橋克彦・神戸大名誉教授=中澤雄大撮影
浜岡原発は東海地震の想定震源域の真上にあり、その危険性がたびたび指摘されてきた。東海地震の可能性を70年代から警告し、「原発震災」という言葉も提唱した石橋克彦・神戸大学名誉教授(地震学)は今回の要請について「全面停止は当然だが、もっと早い時期に止めるべきだった。少なくとも福島第1原発事故が起きた直後に止めなくてはならなかった」と指摘する。
石橋名誉教授は「1978年に(東海地震への対応を定めた)大規模地震対策特別措置法が制定され、公共施設や民間施設などが防災対策を講じたにもかかわらず、直ちに停止すべき原発は聖域とされ、運転し続けてきた。浜岡原発をもっと早く止めていれば、それを機に原発の安全性への見方が厳しくなり、日本の原発行政が変わって福島第1の惨事も防げたかもしれない」という。
石橋名誉教授は、05年の衆議院予算委員会公聴会でも浜岡原発への懸念を表明していた。
石橋名誉教授は「アメリカでは地震は原子力発電所にとって一番恐ろしい外的要因と考えられている。地震の場合はいろんなところがやられるので、多重防護システムが働かなくなるなどで、最悪の場合、炉心溶融とかにつながりかねない」と指摘。浜岡原発については「東海地震の予想震源域の真上。中部電力は東海地震に耐えられるというが、地震学的に疑問がある。想定の地震がまだ不十分ではないか」と話していた。
また、浜岡原発の地理的な特性として「御前崎は南西の風が吹くことが多い。その場合、静岡、三島を通って箱根の山を越えて、首都圏にも流れてくる」と懸念した。
さらに、地震と原発事故が複合的に起こることで「放射能から避難しようと思っても、地震の被害で、津波や液状化で道路、橋はずたずた、建物は倒れ道路をふさいでいるということで、逃げようにも逃げ切れない。原発事故に対処しようと思っても対処できない。通常の震災では救出できる人が見殺しになる」と危惧を示していた。【藤野基文、飯田和樹】
毎日新聞 2011年5月6日 22時31分(最終更新 5月6日 22時46分)
スポンサーサイト
- 2011/05/07(土) 09:13:43|
- ブログ
-
| トラックバック:0
-
| コメント:0