2011年3月21日14時- 山下俊一氏・高村昇氏「放射線と私たちの健康との関係」講演会で山下教授は次のように発言している。
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放射線はエネルギーとして、1つ覚えてください。1ミリシーベルトの放射線を浴びると皆様方の細胞の遺伝子の1個に傷が付きます。簡単!100ミリシーベルト浴びると100個傷が付きます。これもわかる。じゃあ、浴びた線量に応じて傷が増える。これもわかる、みんな一様に遺伝子に傷が付きます。しかし、我々は生きてます。生きてる細胞はその遺伝子の傷を治します。
いいですか。1ミリシーベルト浴びた。でも翌日は治ってる。これが人間の身体です。100ミリシーベルト浴びた。99個うまく治した。でも、1個間違って治したかもしれない。この細胞が何十年も経って増えて来て、ガンの芽になるという事を怖がって、いま皆さんが議論している事を健康影響というふうに話をします。まさにこれは確率論です。事実は1ミリシーベルト浴びると1個の遺伝子に傷が付く、100ミリシーベルト浴びると100個付く。1回にですよ。じゃあ、今問題になっている10マイクロシーベルト、50マイクロシーベルトという値は、実は傷が付いたか付かないかわからん。付かんのです。ここがミソです。
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ずいぶん、乱暴な説明である。まず、「1ミリシーベルトの放射線を浴びると皆様方の細胞の遺伝子の1個に傷が付きます。簡単!」というのがかなりいい加減な話である。しかしこれは程度問題だからまぁ、良いとしよう。問題は、
「生きてる細胞はその遺伝子の傷を治します。」
という楽観的表現が、嘘だということである。実は、遺伝子を治そうとする行為が、癌の原因なのである。
放射線が遺伝子を傷つけるというのは、遺伝子を切ってしまう、ということである。遺伝子のどこかを切られた細胞は、そのままではやがて死ぬ。死んでくれたら、体にとったら何の問題もない。
ところが、細胞もなんとか生き残ろうとして、頑張っている。それゆえ、遺伝子をなんとか修復しようとする。その修復が不十分で、時に変な修復をするのである。そういう場合には変な遺伝子を作り出す。そんな変な遺伝子を持つ細胞は、たいていは死ぬ。これまた死んでくれたらなんの問題もない。
怖いのは、そういう細胞が生き延びる場合である。もちろん、免疫系が作動して、こういう細胞は排除してくれる。しかし運悪く、排除できない場合がある。免疫系を掻い潜って、変な遺伝子を持つ細胞が生き延びてしまうと、これが癌になったりして、身体を蝕むのである。
本当に運が悪ければ、放射線を一発浴びただけでも癌になる。しかし普通はそういうことは起きない。累積被ばく線量が高くなってくると、そういう運の悪いケースがかなりの数で出てくるので、認識されるのである。
私が放射線が怖いと思うのは、
身体の修復機能が、癌をつくって私たちを殺してしまう、ということである。放射線が悪さをして、身体の修復機能がそれを防げなかったから病気になる、というのではなく、放射線の悪さを修復機能が防御をするがゆえに、病気になる、という点である。それゆえ、身体の修復機能があるから、低レベル放射線なんかへっちゃらだ、という考えは、論理的におかしいのである。我々の身体は、身体の修復機構によって守られているが、その修復機構の誤作動によって病気になる。
山下教授は、下の福島県立医科大との協定締結に際して、
「極めて低い放射線を長期間浴びるという例はかつてなかったため、健康リスクがないと証明することが極めて難しいのが現状」
と言っている。つまり、現段階では、山下教授としても、「健康リスクがない」といえる立場にいないのである。しかし彼は講演で、
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ミリシーベルトになったら、そのような生体、健康影響がありますが、マイクロシーベルトではありません。だから、私は大胆にも「心配いらん」というふうなことを断定し、バッシングされるかもしれませんが、皆様方に是非このナイーブ(?)から安心と安全を伝えたいということで、この講演会を企画しています。
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と言っている。これはどう考えても矛盾している。
彼が考えていることは、
「福島レベルの被曝であれば、健康に被害がないと信じているけれど、残念ながら根拠薄弱なので、今回の研究で明らかにしよう」
ということである。これはつまり、
私の信じている仮説を証明するために、みなさんは福島で放射性物質まみれで、安心して普通に暮らしてください。と言っていることになる。福島県民が神経質になって、放射線被曝を減らすための対応をされたりすると、実験がうまくいかなくなって困るので、気にしなくていい、と力説していると考えれば、彼の言動は、論理的に一貫して理解できる。
「モルモットにするな!」と叫んだ人がいたそうであるが、まさにそれが正鵠を得ている。彼が福島県立医科大学の特任教授に就任して、国の予算も多分がっぽりとって、やろうと思っていることは、
低レベル放射線被曝なんてへっちゃら
という仮説を、福島県民をモルモットにして証明することであって、福島県民の健康を守ることではない。そう考えれば、彼がやっていることは、非常に筋がとおっている。
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福島県立医大が広島大・長崎大と連携協定
福島原発
福島第一原発事故を受け、福島県立医大(福島市)は2日、被爆地にある広島、長崎両大学と教育・研究・診療分野での連携協定を結んだ。
両大学に蓄積された放射線に関する研究や診療のノウハウを学ぶことで、原発事故によって放出された放射性物質による健康への影響などの研究に役立てるのが狙い。
県立医大の菊地臣一学長が両大学に申し入れ、快諾を得た。1日には、広島大原爆放射線医科学研究所の神谷研二所長と長崎大医歯薬学総合研究科の山下俊一科長が県立医大の特命教授に就任。将来的には医学分野に加え、放射線による風評被害対策の研究や学生向けの合同講座の開設も検討している。
協定締結後、菊地学長は記者会見し、「原爆による瞬間的な被爆とは異なり、(原発事故で)低レベルの放射線を慢性的に浴びることの影響はわかっていない。長期的な視点に立って人材育成などに取り組みたい」と語った。
(2011年4月3日00時23分 読売新聞)
福島医大、被曝医療で長崎大・広島大と協定
2011.4.4 09:09 産経新聞
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連携協定を締結する(左から)広島大学の浅原利正学長、福島県立医大の菊地臣一学長、長崎大学の片峰茂学長=2日午後、福島市
東日本大震災による福島第1原発事故を機に、被曝(ひばく)医療で協力関係を構築しようと、福島県立医科大、長崎大、広島大の3大学が連携協定を締結した。
長崎大の片峰茂学長、広島大の浅原利正学長らが、福島県立医大で開かれた調印式に臨み、浅原学長は「被曝医療の実績を福島県民の不安軽減に役立てたい」と述べた。
福島県立医大は併せて、広島、長崎両大学と放射線の研究4機関で構成する「放射線影響研究機関協議会」(千葉市)のメンバーも招き、技術的助言などを受けた。
メンバーのひとりで、福島県の放射線健康リスク管理アドバイザーにも就任している山下俊一・長崎大教授(被曝医療学)は「極めて低い放射線を長期間浴びるという例はかつてなかったため、健康リスクがないと証明することが極めて難しいのが現状」と説明した。
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- 2011/05/06(金) 13:20:02|
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モルモットというか、まさに壮大な人体実験ではないか。
チェルノブイリであったように、この人たち、治療しないでデータだけ集めるつもりかも。
- 2011/05/09(月) 01:43:44 |
- URL |
- まゆまゆ #79D/WHSg
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