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マイケル・ジャクソンの思想

福島原発:首相は嘘をつかないと、攻撃される。

菅直人首相が原発周辺には当面住めないと言った、というのが問題になっている。驚くべきことである。

チェルノブイリの1割相当の放射性物質が既に拡散しており、20キロ県外でも年間500ミリシーベルト程度の汚染が確認されている。放射性ヨウ素の半減期は8日程度だが、セシウム134は二年、137は三十年なので、数年から数十年は被曝が生じる。それゆえ、相当の汚染が生じてしまった原発周辺の土地には、人が住めなくなるのは、実に恐るべきことであるが、悲しむべき事実である。除染や客土をすれば多少は変更できるかもしれないが、どうしようもない場所もあるし、広範囲にそういう処置をするのは難しいだろう。その非情な条件は、どんなに首相が頑張っても、変えられない。

それゆえ、松本内閣官房参与や菅首相の言ったことは、たとえ被災者にとっては受け入れがたいことであるとしても、事実である。こんなひどいことになったのは、原発を推進した政府と電力会社のせいである。それゆえ、被災者が、その事実に対して激怒するならわかるし、激怒すべきだ。これほど許しがたいことはない。

しかし、飯館村の村長は、

 「もう10年も20年も住めないなんて心ない話をするとは。国を治める人の発言だとは思えない。我慢がならない」

「できるだけ早く帰れるようにすると言うのが政治家の役目のはず。抗議をしたい」

と泣きながら怒っている。また、大熊町の町長は

「1、2年住めないのでも大変なのに、10年、20年とは。そんなことを本当に言ったとすれば、とんでもない話」

と怒りをあらわにした、という。つまり、彼らが怒っているのは、菅首相が「原発周辺には当面住めない」と言ったことだ、という形で報道されているのである。

私は、原発のために被災している人々ほど、怒り狂うべき人はいないと思う。こんなふざけた話はない。しかしそれは、住むところを奪われた、という事実に対して怒るべきであり、そう言った、といって怒るべきことではない。

しかしそれ以上に、なぜこんな形で報道するのかが、理解できない。被災している方々がたとえ首相の発言に対して怒っているとしても、彼らが本当に怒っているのは「言った」ことではなく、住むところを奪われたという理不尽な事実に対してであることは、明らかであろう。こんな報道をすれば、

「言わなければいいのね」

という無責任な態度を助長するばかりである。更には、

「原発周辺には住めない」

という事実の誤摩化しを助長することになる。

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首相発言なかった?…原発周辺「当面住めない」

福島原発
 菅首相は13日、首相官邸で松本健一内閣官房参与と東日本大震災の復興に関して意見交換した。

 松本氏は会談後、福島第一原子力発電所周辺の避難対象区域について、首相が「当面住めないだろう。10年住めないのか、20年住めないのか。そういう人を内陸部に住まわせるエコタウンのような都市を考えなければならない」と述べたと記者団に明らかにした。

 首相の発言が報道されると、松本氏は改めて記者団に「発言は私の推測だ。首相は言っていない」と述べ、訂正した。首相は13日夜、首相官邸で記者団に「私が言ったわけではない」と強調した。

 松本氏の訂正後の話によると、松本氏は首相に、避難区域には当分「住めない」との見通しを示したうえで、住宅を高所に移したり、自然エネルギーに頼った都市を作る「エコタウン構想」を説明。首相は「それがいいのではないか。内陸部に住む選択をしていかないといけない」と応じたという。松本氏は麗沢大教授で、アジア外交が専門。

(2011年4月13日20時41分 読売新聞)
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我慢がならないと涙、「首相発言」に飯舘村長

 「我慢がならない」。首相が漏らしたとされる発言に、福島県飯舘村の菅野典雄村長は思わず涙をこぼした。

 福島第一原発の放射能漏れ事故を受け、役所機能を移し、住民とともに避難を続ける周辺自治体。疲労の色を濃くする首長たちは敏感に反応し、表情には憤りと戸惑いが交錯した。

 「もう10年も20年も住めないなんて心ない話をするとは。国を治める人の発言だとは思えない。我慢がならない」

 13日夜。飯舘村の長泥コミュニティーセンター。菅野村長は180人の村民を前に、泣いた。国から指示された計画的避難について説明しながら、「できるだけ早く帰れるようにすると言うのが政治家の役目のはず。抗議をしたい」と声を震わせた。

 避難指示を受け、約100キロ離れた会津美里町に役場機能を移した楢葉町。草野孝町長は「みんな混乱する。一日も早く戻れるよう救済措置をしっかりやってほしい」と憤る。

 広野町の山田基星町長は「首相という立場の人が、いとも簡単に発するべき言葉ではない。事前に自治体に説明もないし、そもそもこういう話が報道で出てくること自体、よく理解できない」と表情を曇らせた。

 川俣町の古川道郎町長は「国がしっかり見通しを示さないと、余計な不安が広がる」、大熊町の渡辺利綱町長は「1、2年住めないのでも大変なのに、10年、20年とは。そんなことを本当に言ったとすれば、とんでもない話」と怒りをあらわにした。

(2011年4月14日10時28分 読売新聞)
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  1. 2011/04/14(木) 14:05:34|
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