今回の事故で耳にタコができるほど聞いた言葉は、
想定外である。今年の流行語大賞かもしれない。
ではどうしてこういう事態が想定外とされるかというと、原発の事故を抑えこもうと思うと、考えないといけないことが無限にあるので、コストが発散して、まったく採算がとれなくなるからである。斑目さんが言っていたように、どこかで切らないといけないのだが、どこで切っても想定外の出来事は必ず生じる。
それは如何なるシステムについてもそうなのだが、原子炉の問題点は、そうなると、勝手に落ち着くということがなく、何十年も放射能をバラマキながら暴走し続けることにある。たとえば、今回の地震でコスモ石油のタンクが爆発し、8日間も燃え続けた。あれもとんでもない事故であり、普通ならコスモ石油袋叩きだが、原発事故のおかげで誰も気にしていない。あれと原発との違いは、あそこまでひどくなっても放っておけば、8日経ったら勝手に消えることである。原発は、放っておくと、どんどん熱くなり、そのうち爆発する。爆発したときのコストはすさまじく大きい。
つまり、
(1)想定外を全て潰して対策を建てると、コストが無限大になる。
(2)コストを採算の取れる範囲内に収めると、「想定外」が生じる。
(3)「想定外」の事態が生じると、コストが無限大になる。
というのが原発の仕組みである。これを
いいやそんなことはない、安全だ!と言い張るのが「原子力安全欺瞞言語」である。これに対して、「どこが安全なんだ」と詰め寄ると、
「想定されている事態には全て対応している」
と言うのである。そこで、「原子炉が停電してしまったらどうするんだ」とか「津波に呑まれたらどうするんだ」とか聴くと、
「それは想定外だ」
と言うのである。言うばかりではなく、
「そんなことを聞くとは、お前は素人だな」
と鼻で笑って、軽蔑するのである。誰でも、人に軽蔑されるのは嫌なので、原子力に携わる人は、原子力安全欺瞞言語をあわてて習得することになる。矛盾を矛盾ではないかのように偽装し、その上に言語体系を構築すると、全ての言葉が嘘になってしまう。そうすると、原子力関係者は全員、否応なしに「うそつき」になってしまう。
人間をうそつきにしてしまうことが、原子炉の最大の問題だと、私は考えている。下のCMが全て空々しいのは、そのためである。そうして国民は、嘘つきに原発の運営ばかりか、事故の際の対応までを託すことになる。
【東京電力】安全をうたった福島原発CM集 投稿者 nico2tube
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- 2011/04/13(水) 14:14:32|
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| コメント:2
おもしろい!
このCM、新宿東口の大きなテレビ(昔あったけど、今もある?)で垂れ流しにするとか、JRの車内テレビで音声入りで流すとかすると、いいと思う。
- 2011/04/13(水) 16:25:40 |
- URL |
- まゆまゆ #79D/WHSg
- [ 編集 ]
東電の原発TVコマーシャルは、今こそ全国に流すべきです。
- 2011/04/13(水) 16:38:53 |
- URL |
- hakkeyoi #79D/WHSg
- [ 編集 ]