東電の渋谷にある電気館の放射線量が出ていたので、首都圏の癌死者数を見積もってみた。
http://www.tepco.co.jp/nu/pamp/images/senryo2.pdfその値を見ると、普通は30ナノグレイ/時間であるが、15日に438に跳ね上がったあと、一旦下がって、21日、22日に増えた。多分、雨で落ちてきたのであろう。そこからはなかなか下がらなくなり、ジリジリ下がって、50くらいまできた。
しかし、ここからはあまり下がらなくなっているような気がする。というのも、今回の汚染のセシウムは、セシウム134(半減期2年)とセシウム137(半減期30年)がほぼ1対1で交じっているので、しぶとい放射性物質だからである。もっと半減期の短い物質がこれまでに崩壊したので下がってきたが、ここからは下がらないのではなかろうか。
もし50ナノグレインという水準がこのまま25年続くとどうなるか。元来の平常が30なので、一時間あたり、20ナノグレイ、余計に浴びることになる。内部被曝はどうなるかというと、放射性物質が他所には行かないとすると、そのうち、全員、少しづつ取り込んでしまいそうである。それをどう見積もったらいいのか、まったくわからないが、まぁ、α倍になるとしてあとから計算しよう。
1時間、20ナノグレイ余計に浴びるとすると、
20ナノグレイ×24時間×365日×25年=0.00438グレイ
である。これは御用学者なら絶対に無害という水準である。しかし、ここで線形しきい値ナシ仮説をとると、人数で積算せねばならない。首都圏の人口三千万人として、
0.00438グレイ × 3千万人=131,400人グレイ
ゴフマン博士の見積もりでは、標準的人口ピラミッドを仮定した場合、2.68グレイで一人が癌死する。
131,400人グレイ ÷ 2.68グレイ = 49,030人
となる。つまり5万人が癌死する。これに内部被曝率αをかけると、5α万人が癌死する、ということになる。仮に αが2であれば、癌死者が10万人増加する。既に首都圏に10万枚分の「イキガミ」が福島第一原発から配達されたことになる。この十万人の多くは放射線への感受性の高い若い人である。これは無視できる数値だろうか。
一方、3000万人のうち今回の被曝がなくても癌死する人は、25%として、750万人程度になる。10万人増は、1.3%の上乗せなので、その増加を観察するのは難しい。それゆえ、
「健康に被害があっても、原発のせいだとは絶対にバレない水準です。」
ということになる。完全犯罪である。
============
※以上の議論については、京大原子炉実験所の今中哲二先生に計算を直していただき、更に貴重な情報を教えていただいた。
今中先生のチェルノブイリの死者数についての大まかなみつもりについては、以下を参照。
http://www.cnic.jp/modules/news/article.php?storyid=412============
追記:
福島の場合は年間20ミリシーベルトが「大丈夫」ということになるらしい。これだ自然放射線を2.4ミリシーベルトとして、年間で17.6ミリシーベルト増である。25年で440ミリシーベルト増となる。人口を200万人としたら、
0.440シーベルト×200万人=88万人シーベルト
である。
88万人シーベルト÷2.68=328,358人
これは多い。ゴフマンの厳しい係数を使わなくとも、ICRPとかの係数でも2~3万人にはなろう。こんな無茶苦茶なものを「原発事故の長期化を前提に、健康に影響が及ばない範囲で被ばく限度の基準を緩める必要があると判断した。」と言ってのけるのは、無責任にも程がある。
スポンサーサイト
- 2011/04/08(金) 09:25:00|
- ブログ
-
| トラックバック:0
-
| コメント:0