福島原発で再臨界が起きている可能性を指摘した論文の解説の翻訳が出ている。
http://peacephilosophy.blogspot.com/2011/04/is-unintended-recricality-ocurring.html論文はこちら。英語である。もうじき翻訳もアップすると書いてある。
http://www.japanfocus.org/-Arjun-Makhijani/3509
私も、こんなめんどくさい計算は意味がサッパリわからないが、議論は簡単である。
(1)塩素38という放射性物質がタービン建屋の高濃度汚染水から大量に検出された。
(2)これは海水中の塩素37が中性子を吸収してできる。
(3)半減期が37分と極めて短いので、できたてホヤホヤであることは間違いない。
(4)できる理由は二つ
(可能性A)プルトニウムなどが出す中性子をキャッチした。
(可能性B)再臨界が起きて、放出される中性子をキャッチした。
(5)可能性Aの場合に生成されうる塩素38の濃度の上限を評価した。
(6)それは非常に少ない。
(7)それゆえ、考えたくないことだが、高い塩素38の濃度の原因は、可能性B の「再臨界」によるということになる。
この計算があっているかどうか、私には判断できない。論文の下にコメントが出ていて、計算方法の仮定が間違っているのではないか、という指摘も出ている。
しかし、いずれにせよ、下の図に出ているように、塩素38が Cs-137 と同程度となっている。ベクレルというのは、崩壊している原子の数を示すので、半減期が短い塩素38は、半減期30.3年というセシウム137に比べて、猛烈に崩壊して放射線を出すので、個数に比べてベクレルは多くなるからこうなっているのだが、本当は無いはずのものがこんなにある、という事態は、再臨界が起きている可能性を強く示唆する。
問題は、この可能性を念頭に置かないで現場で作業することは非常に危険であり、避難の意思決定にも決定的に重要であるというのに、この論文が1週間前に出ていて、Nature というメジャーな科学雑誌でも議論されているにもかかわらず、政府や東電が関係する情報を出さない上に、小出裕章さんのラジオインタビュー以外では、全く日本のメディアに流れていない、ということだ。これは彼らが、
「どうせ、可能性Aだろう。だって、もしそうじゃなかったら困るじゃないか。」
という例の日本軍得意の「希望的観測」に支配されているということを意味する。
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- 2011/04/07(木) 15:10:20|
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