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マイケル・ジャクソンの思想

福島原発:なぜ情報を共有しないかというと、それをしたらオワリだから。

下の記事で東電を批判している元京都大学原子炉実験所講師の小林圭二さん(原子核工学)と、同実験所の小出裕章助教(同)のお二人は、例の熊取六人組である。漸くにして御用学者ではない人びとの見解が大手メディアに出るようになってきた。遅すぎるのだが。

なぜ汚染情報が共有されなかったのか。東電の担当者が「現場の混乱」のせいにしているが、それはちがう。しつこいようだが、これも原子力安全欺瞞言語のせいなのである。原発において本当の情報を皆が知ったら、みんな怖くなって逃げ出してしまい、運営できなくなる。それゆえ、情報は細分化して無意味化し、目の前の操作に必要な知識・情報以外は、決して流通しないようにしておかねばならない。平井憲夫さんの言われた「絶対安全」という「5時間の洗脳教育」もそのために必要とされるのである。

原子力安全欺瞞言語は、この目的のために構築された。危険性についての情報を、細分化して無意味化し、「安全性」に関する情報に変換することが、この言語の機能である。

福島第一原発においては、恐るべき事故によって、危険性は極限的に増大している。それゆえ、本当のことに目を向けたら、心底恐ろしくなって全員逃げ出さざるをえない。それが人情というものである。しかし、そんなことをしたら東電は終わりである。そこで、原子力安全欺瞞言語を更に強化して用いているものと推定される。

かくして福島第一原発では、情報は以前にも増して、細分化され、流通しなくなっているのではなかろうか。限られた報道からも、互いに口もきかないで、黙々と作業し、黙々と休憩しているような印象を受ける。つまり、「現場が混乱」しているから、情報が流通しなくなっているのではなく、現場を混乱させないために情報が流通しなくなっているのである。それは政府やマスコミが「パニック」を恐れて情報を出さないように、出すにしても無意味化して出るように加工しているのと同じ理屈である。

ハイパーレスキュー隊は、相互に声を掛け合いながら、必死で助けあって作業していた。あのような状態にならなければ、危機を乗り越えるのは難しいだろう。それが東電に可能であろうか。また、日本国民も、彼らに倣って情報を蜜に交換しながら、助け合っていかなければこの危機を乗り越えられないだろう。「パニック」を恐れてばかりの政府やマスコミには、その実現は不可能である。


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「汚染情報なぜ共有しない」東電の対応、専門家ら批判

2011年3月26日17時0分 朝日新聞

 東京電力福島第一原子力発電所3号機のタービン建屋内で起きた作業員3人の被曝(ひばく)事故をめぐり、東電側が1号機の同建屋でも同様の放射線量を6日前に把握しながら、注意喚起していなかったことが判明。東電側は26日、後手にまわった対応への釈明に追われた。専門家らは、ずさんな安全管理を批判している。

 同日午前の東電本社。連日の記者会見に姿を見せた福島第一原発の藤森昭彦・環境担当は、注意喚起がなかった理由を問われ、言葉に窮した後、「十分な情報共有がなされていなかった。現場の混乱があったと思われる」。絞り出すような声だった。1号機関連の高い放射線量の公表が遅れたことについても、吉田薫広報部部長が「申し訳ない」と述べるにとどまった。

 経済産業省原子力安全・保安院も、東電から1号機関連の報告を25日未明に受けながら、公表したのはほぼ1日後。西山英彦審議官は「3号機に神経が集中していたという事情があった」と釈明。ある保安院職員は「バタバタした状況が続いて、保安院でも情報整理ができていないのだ」と混乱ぶりを嘆いた。

 元京都大学原子炉実験所講師の小林圭二さん(原子核工学)は、「情報共有されていなかったことは非難されるべきだ。一義的には放射線管理担当者の責任だと思うが、組織としてずさんだったと言われても仕方ない」と東電の対応を批判。同実験所の小出裕章助教(同)は、「作業員は非常に困難な状況で、一刻も早く冷却ポンプを復活させようと水に入ったのだろう。これを教訓に、東電側は情報を共有させ、作業員一人一人の身を守ることを考えないといけない」と話す。

 また、宮崎慶次・大阪大名誉教授(原子炉工学)は、「長靴を履いていれば、水につかって作業してもやむを得ない放射線量だった。直接肌に触れることの危険性が、現場で作業する人にどの程度伝わっていたのか。東電が協力会社側にも十分に注意し、管理する必要があった」と指摘した。
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  1. 2011/03/26(土) 17:27:55|
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