京都大学大学院 人間・環境学研究科 自然環境動態論講座 宇宙論・重力グループ の阪上雅昭教授からコメントをいただいた。阪上さんは物理学者であるから、私よりも原子炉内外で生じている物理過程を理解する知識をお持ちである。ご専門は原発ではなく、ブラックホールの動態とか魚の群体の運動とかの非線形科学である。このブログを毎日読んで下さっている、とのことであった。
(1)阪上教授も、「浜岡原発の運転再開はすべきでない」とお考えである。川勝平太知事はよく考えて欲しい。
(2)”
チェルノブイリの10%~50%の放射性物質"に関して、阪上教務も「こんなに出ているとは思いませんでした.驚きました.」とのことで、これについて以下のコメントを頂いているので、ご参考にしていただきたい。(※)は私の註釈。
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オーストリア気象当局
http://www.zamg.ac.at/aktuell/index.php?seite=1&artikel=ZAMG_2011-03-18GMT09:52のシミュレーションに基づいて推定しているようです.
念のため,私の見解を述べておきます.
シミュレーションはそれなりに信頼できると思います.もちろん,安冨さんなら容易に理解できるように,流れの上での拡散ですから,カオティックで,計算された濃度の空間パターンの精度は高くないと予想されます.(※つまり、ここで描かれている絵は、かなりいい加減だ、ということである。それはやり方が悪いのではなく、原理的なもので、どんなに頑張っても正確にはならない。)
いい加減な言い方ですが,ある場所の放射性物質の濃度は,計算に用いた空間差分より大きいスケールで平均した統計的な意味でしか信頼できないと思います.(※いい加減な計算をたくさんやってみて、その平均をとったような、そういう程度のものだということ。)
このシミュレーションでは,初期の放出量,従って濃度分布の絶対値は決められません.絶対値は観測データから決めているようです.3月18日~19日あたりの計算の場合は群馬の高崎やPetropavlovsk(ロシア)にある CTBTO の観測所のデータで濃度分布の絶対値を決めているようです.(※どれだけいつ放射性物質が放出されたかを決められないので、周辺のデータをとって、それに合うように計算している、ということ。)
ただ,元々のシミュレーションが本質的に不安定で精度の期待できない計算なので,分布の絶対値を決める観測点の数が少なすぎるという印象を受けます.(※もともといい加減な計算を、ろくなデータもなしにやっているので、かなりいい加減ということになる、ということ。)
その意味では SPEEDI の試算
http://www.nsc.go.jp/info/110323_top_siryo.pdf
の方が局所的計算であるかつ観測点が多いので信頼性は高いと思います.
その意味では
http://www.asahi.com/special/10005/TKY201103240465.html
の3万~11万テラベクレルという推定値の方が信頼性が高いと思われます.ただ朝日新聞以外が記事にしていないようなので,気になっています.
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- 2011/03/26(土) 12:11:03|
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