1号機の炉内の温度が400度を超えていたことが、通電によって判明し、海水の注入量を増やした、という報道を聞いて、嫌な予感がしていた。
というのも、海水注入を増やすと、蒸気発生が増えて、圧力容器や格納容器の圧力が高まって来るからである。既に述べたように、原発は、ギンギンに運転しているときでも、水蒸気の温度が300度までしか上がらないはずなので、圧力容器が400度というのは怖い。炉心はいったい、どうなっているのか、と不安に思っていたのだが、以下のように、今頃になって、斑目(不適格)委員長でさえ、「かなり溶融している」と言っているのだから、これは相当な事態だと思わざるを得ない。その下の三人の「専門家」は、それよりも強い表現で心配している。事態は、二三日前よりも、悪化していると思ったほうが良いだろう。
圧力を下げるために、現在、開いている弁以外の弁を開けると、それは直接、外気に圧力容器内の蒸気を放出することになるので、相当の放射性物質の放出が起きる。これによって爆発を回避し、海水の注入量を増やすして炉心を少しでも冷そうということなので、やむを得ない。しかし、また放射性物質の漏洩による被害を拡大することになる。
また、さらにその下につけた朝日新聞の記事では、どこから放射能が漏れているのかわからないことを示している。ということは、今後もかなりの量の放射能汚染は続く。春は風が不安定で四方八方に吹くので、関東平野を含む東本州全体に拡散する。また、西日本や北海道にも、早晩拡散してくるだろう。
地球には既に、米ソの激しい核実験や、チェルノブイリによって、膨大な量の放射性物質がばらまかれており、我々一人ひとりの身体に、人工の放射性物質が取り込まれてしまっている。今回の事故は、更にこれを増加させ、地球のすべての生命をおびやかしている。
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福島第一原発1号機、核燃料溶融の可能性も
福島原発
国の原子力政策の安全規制を担う、原子力安全委員会の班目春樹委員長は23日夜、東日本巨大地震で被災した東京電力福島第一原子力発電所の事故後初めて記者会見を開いた。
原子炉の被害について尋ねられた同委員長は「(水素爆発した)1号機の核燃料はかなり溶融している可能性がある。2、3号機に比べて、最も危険な状態が続いている」と指摘。原子炉内の温度、圧力の異常上昇が続き、危険な状況にさしかかっているとして、「(炉心が入っている)圧力容器の蒸気を放出する弁開放を行い、炉の破壊を防ぐ検討をしている」ことを明らかにした。
同原発1~3号機の原子炉の燃料棒は露出し、海水の注水作業が続けられている。23日、1号機の炉内の温度は一時、400度と設計温度(302度)を上回ったが、注水によって温度が下がっている。しかし、圧力の上昇が続き不安定な状態になっているため、班目委員長は「24日にも、圧力容器内の蒸気を放出するかの判断をする」と述べた。
(2011年3月24日01時21分 読売新聞)
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1号機の炉心、一時400度に…燃料棒露出続く
福島原発
原子炉内の温度が、一時400度まで上昇した福島第一原発1号機に関して、東電は23日未明から仮設ポンプで、海水の注水量を増加、冷却作業を進め、午後6時現在で温度を306度まで下げた。
しかし、燃料棒は水面から露出したまま高温になったとみられ、圧力も上昇し、炉内の状態は不安定なままだ。専門家も炉心の一部が溶けた可能性があるなどとし、十分な警戒が必要としている。
元原子力安全委員の住田健二・大阪大名誉教授(原子力工学)は、「同じように原子炉内に注水し続けている2号機の温度(約100度)と大きな温度差があるのが気になる」と指摘。「炉心の一部が溶け、炉内が高温になったと考えられる。圧力容器を溶かすほどではないが、炉内が落ち着いていない。温度は今後、急上昇する危険性がある。細心の注意が必要だ。最も重要なのは、炉の近くで中性子線の有無を確認し、核分裂反応が連続して起きる臨界がわずかでも起きているのかどうかを知ることだ」と話す。
「異常な高温状態だ」と話すのは杉山亘・近畿大原子力研究所講師(原子力安全学)。約70気圧になる通常運転中でも水温は280度程度にとどまるとし、「冷たい水を高温の原子炉内に入れると、(原子炉につながる)給水配管が急な冷却で、破損するおそれもある」という。
宮崎慶次・大阪大名誉教授(原子力工学)は「原子炉の上部と下部で同じ約400度を示したのは、燃料の上部が冠水していないというより、水がほとんど入っていないのではないか。圧力容器を壊すような数値ではないが、深刻な状況が続いていると言える」としている。
(2011年3月24日09時23分 読売新聞)
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放射能漏れ、どの部分から? 特定遅れれば放出長期化も
2011年3月24日0時38分 朝日新聞
東京電力福島第一原発では、爆発が起きて以降、人体に有害なレベルの放射線が敷地内で観測され続けている。放射性物質は、どこからもれているのか。考えられるのは使用済み核燃料の貯蔵プールと、原子炉やその周辺部分の破損だ。漏出部分を突き止めるのが遅れれば、放射性物質の放出は長引くことになる。
同原発4号機では15日に核燃料プール付近で火災があった。プールの水位が下がって使用済み核燃料が露出し、水素が発生して爆発したとみられている。このとき外部に放出された放射性物質が、敷地内にとどまって放射線を出し続けている。これが考えられる一つのシナリオだ。
プールでなく、原子炉からもれている可能性もある。
東電は、水素爆発が起きて建屋が壊れた1、3号機について、「格納容器の健全性は保たれている」との説明を続けている。格納容器につながる圧力抑制室で爆発が起きた2号機も、大きく壊れているとは考えにくいとの立場だ。損傷が大きければ「放射線量はこんなものではすまないはず」(東電)だからだ。
だが、部分的な破損の可能性を示すデータはある。その一つが、核燃料のウランが核分裂してできる放射性のセシウムが外部で検出されていることだ。
内部の圧力が高まった格納容器が壊れないよう、蒸気を外に逃す措置もとられている。ただ蒸気はいったん水の中をくぐっているため、この措置でセシウムが外部に出た可能性は低い。
では、破損部分はどこなのか。可能性が高いのは、検査の際などに人間が内部に出入りするときにつかう「パーソナルエアロック」というドアだという。関係者によると、ドアと格納容器のすきまを埋めるパッキンが「一番弱い」とされているからだ。
東電はこのほか、接続部分などの小さな箇所が破れている可能性も認めている。たとえば、圧力容器や格納容器から外部へ通じる配管だ。配管には弁があり、地震を感知して発電が自動で止まると同時に、弁は閉じられる。仮に弁から先の配管が破れても、炉内部と外部が直接つながるわけではないが、もともと配管の中にあった放射性物質を含む水などが、漏れだした可能性はあるという。
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- 2011/03/24(木) 09:31:41|
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