武谷三男という偉大な物理学者・哲学者がいた。私は昔、岩波新書の
武谷三男編『原子力発電』を読んでいたく感心した。極めて重要な本なので、絶対に読んでほしい。ところが岩波書店のアホが絶版にしている。中古で60円から売っているので、早い者勝ちだ。
今回読みなおしてみて、このブログの議論も、大半は同書に拠っていることに気づいた。詳細は記憶していなかったのだが、大切なことが沢山書かれている。今回の事故がなぜ起きたのかも、きちんと説明されている。1976年に出た本である。「予見できなかった」などというのは、100%嘘である。
「知ってたけど、知らんぷりしていた」が正しい。
特に、武谷の「許容量は、がまん量だ」という思想は非常に重要である。これだけで、20世紀最大の科学者・思想家といって間違いない。
http://www.h-nisshou.com/yosist-3.htmに非常に良いまとめがあるので、これだけは最低、必ず読んで欲しい。放射能以外にも、一生、役に立つ。たとえばハラスメントにも同じ考えで対応できる。
既に述べたように、放射線には「しきい値」はない。それゆえ、どんなに微量でも害がある。ではどれだけの害ならいいか、というのは、科学的概念ではなく、社会的概念だというのである。たとえば病気になってレントゲン写真をとる場合、とらないよりもとったほうが治る確率が大幅に上昇するのであれば、多少のリスクは我慢しよう、ということになる。これが「許容量」であり、「がまん量」とでも呼ぶべきものなのだ。
「許容量という言葉があるが、これが長い間ゴマ化しに使われていた。つまり、ここまでは安全で、
ここから先は始めて危険であるというふうに使われていたわけだ。専門家はそれを値にとって、これは
許容量以下だから安全だといってきた。ところが許容量以下でも危ないということを最近はっきりさせたのが放射能の問題だ。このような蓄積的なものは許容量以下でも被害がある。」
この言葉に、マスコミ、政府、電力会社、御用学者は、何と応えるのだ。
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- 2011/03/21(月) 17:44:56|
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