どちらかというと反原発のはずの朝日が、政府に対して融和的姿勢を示して、気持ち悪い報道を続けていたのに対して、明確に原発推進派の読売新聞が、原発に対してキツめの報道をしていたのが気になっていた。朝日が民主党、読売が自民党という関係になっていることが反映しているのであろうか。そんなことが反映すること自体、不愉快である。
読売新聞が明確に原発推進派であるのは、長く社主であった正力松太郎が日本に原子力発電を導入し、かつそのあり方を歪めた張本人だからである。
有馬哲夫(早稲田大学教授)によれば、正力松太郎は CIA に利用されつつ CIA を利用し、原子力発電を通じて政界に出て総理大臣になろうとしていたという。
そういうことと関係あるのか知らないが、読売新聞の記事にはアメリカの動向がよく出てくる。http://www.yomiuri.co.jp/feature/20110316-866921/?from=yoltop でざっと見ただけで、16日以降だけで以下のようなものがあった。
無人放水設備、米が4機提供へ (3月20日 03:04)
米の退避勧告圏は過剰?国際指針より厳しい基準 (3月19日 19:20)
米で微量のキセノン133…日常の百万分の1 (3月19日 12:22)
原発事故、自国民に退避を求めている主な国・地域 (3月19日 08:17)
日本の対応、各国に不安…正確な情報発信必要 (3月19日 01:32)
政府筋「東電が米支援は不要と」…判断遅れ批判 (3月18日 15:11)
日本政府は危機感欠如、不信といら立ち募らす米 (3月18日 14:18)
外国人の日本脱出続く…大使館機能の大阪移転も (3月18日 11:07)
米軍450人放射線事故専門部隊、日本へ派遣へ (3月18日 10:40)
福島第一原発、ヘリ放水直後の画像…米衛星写真 (3月18日 10:08)
原発事故直後、日本政府が米の支援申し入れ断る (3月18日 08:12)
欧米各国に広がる退避の動き…米は80km圏外 (3月17日 12:47)
米原子力委員長「4号機プールに水ないと思う」 (3月17日 10:04)
米西海岸は過剰反応、安定ヨウ素剤購買急増 (3月16日 23:05)
米大統領、原発新規建設の推進を確認 (3月16日 17:48)
米国から原子力専門家7人、新たに到着 (3月16日 17:48)
第一原発事故はレベル6または7…米機関が見解 (3月16日 09:56)
いずれにせよ、核エネルギーは、アメリカの世界戦略と不可分なものであり、イラン、インド、パキスタンの原子炉や原爆も、アメリカが昔、熱心に支援したからである。そういう側面を明らかにしてくれる意味で、読売新聞のアメリカ寄りの報道は貴重である。
そのなかに以下のような報道があった。アメリカは、まだまだ現状を危険視していると見て良いであろう。私は当然だと思う。被爆経験があり、放射能の恐ろしさを身を以て知っているはずの日本人が、原爆を落とした方のアメリカ人よりも楽観的になる、というのは、どう見てもおかしい。
最悪の事態は回避されつつあると思うが、既に事態はどうやって収束させたら良いか、見当のつかない状態になっている。炉心の容器が崩壊しているので、危なすぎて原子炉から取り出すことが出来ないからだ。お片づけのしようが無くなっているのである。
チェルノブイリでは全体がコンクリート固めとなって「石棺」というものを作って原子炉自体をなんとか閉じ込めているが、既に内部の放射能を持つ物質の発するエネルギーのために、石棺が崩壊しつつある。福島第一原発も、これから何十年にもわたる「おかたづけ」をしなければならない。まだ生まれていない人々まで、これの処理の片棒を担がされることになる。
===============
防護服1万着、米が提供…21日にも日本に空輸
福島原発
米政府は19日、東京電力福島第一原子力発電所の事故対応のため、核・生物・化学(NBC)兵器から身を守るための防護服1万着を提供することを決め、日本政府に伝えた。
21日にも日本に空輸される。日米関係筋が明らかにした。日本政府の要請に応じたもので、事故現場で作業する東電職員らに提供される。
米国はすでに、在日米軍が150着、原子力空母ジョージ・ワシントンから100着の防護服を自衛隊や東電に提供している。
防護服は、放射性物質などに汚染されると使い捨てにしなければならない。今後の作業では大量の防護服が必要と見られており、自衛隊や東電が所有する防護服だけでは足りなくなる可能性が高いことから、米国が大量提供に踏み切った。
(2011年3月21日07時55分 読売新聞)
スポンサーサイト
- 2011/03/21(月) 13:09:38|
- ブログ
-
| トラックバック:0
-
| コメント:0