ゆっくり合意を形成する日本社会のあり方は、独特の美風でもある。しかし、
原発事故には向いていない。このことをしっかりと我々は認識せねばならない。決定的な最初の数日をマッチポンプと焼け石に水といった、おどろくほど場当たり的な対応で浪費したために、もはや手立てはなくなりつつある。
==============
日本政府は危機感欠如、不信といら立ち募らす米
福島原発
【ワシントン=山田哲朗】放射能漏れを起こした福島第一原発で事態の悪化に歯止めがかからないことに対し、米国では日本政府の危機感が欠如しているとの焦りが募っている。
米原子力規制委員会(NRC)のヤツコ委員長とエネルギー省のポネマン副長官らによる17日の記者会見では、米記者団から「日本政府がこの危機に対処できると信頼しているか」「日本の情報開示に不満を感じていないか」など、日本の危機管理能力を問う質問が相次いだ。
カーニー大統領報道官は「オバマ大統領は、日本政府が十分に問題の深刻さを理解していると信頼している」と表向き答えたものの、内実は深刻に受け止めている。
前日の16日には、ヤツコ委員長が下院で「4号炉の水はすべて沸騰して干上がっている」と証言、「放射線レベルは極めて高く、復旧作業に支障をきたす恐れがある」との懸念を示した。発言の後、自衛隊は4号炉のプールの水を確認したとしており、委員長の勇み足の可能性があるが、米メディアには「日本政府が情報を隠しているのでは」との不信感が広がっている。
率直な議論を重視する米国では、事態の深刻さを直視する姿勢が強い。民間機関「憂慮する科学者同盟」は17日、記者会見を開き、物理学者のエドウィン・ライマン博士が「日本は絶体絶命の試みを続けているが、もし失敗すれば、もう手だてはない」と指摘、放射性物質が大量に放出されて「100年以上にわたって立ち入れなくなる地域が出るだろう」との悲観的な見方を示した。
米国社会は常にイラクやアフガニスタンの戦死者など冷徹な現実と向き合ってきただけに、日本政府の対応は手ぬるく映る。17日付の米紙ニューヨーク・タイムズは、「日本の政治、官僚機構は、問題の広がりを明確に伝えず、外部からの助けを受け入れようとせず、動けなくなっている」「日本のシステムはすべてゆっくりと合意に達するようにできている」とする匿名の米政府関係者の分析を紹介し、国家的な危機に及んでも大胆な決断ができない日本政府へのいら立ちをあからさまにした。
(2011年3月18日10時45分 読売新聞)
スポンサーサイト
- 2011/03/18(金) 10:57:16|
- ブログ
-
| トラックバック:0
-
| コメント:0