日本原子力学会が「
東京電力福島第1/第2発電所の事故について 放射線のレベルについて(公表されている放射線量はどのような意味を持つのか) 」という文書を出した。
まずは、めんどくさがらずに、次の文章を丁寧に読んでいただきたい。
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・ 国際放射線防護委員会が職業上放射線被ばくを伴う業務の従事者や一般公衆に対して勧告している被ばくの上限値を線量限度といいます。この線量限度は次の考えにもとづいています。
(1)急性の放射線障害の発生を防止するため、しきい線量(実際に影響が現れる最低の線量)よりも十分低く定める、(2)がんの発生率に関してはしきい線量がないものと仮定した上で、一般社会で許容できる程度の線量とする。この考え方に基づき、一般公衆の線量限度は1年間に 1000μSv ですが、職業人は5年間の平均が 20000μSv/年となっており、ある年に 20000μSv を超えても他の年に下回っていて平均で 20000μSv/年を超えなければよいという勧告になっています。なお、線量限度には自然放射線と医療による被ばくは含みません。
・ 1回の被ばくで 100000μSv(100mSv)を大きく超えた場合にはガンの発生確率が被ばく量に比
例して増加するとされていますが、それ以下の被ばくではガンの有意な増加はみられていません。===========================
では質問である。以下の文章は正しいか間違っているか。
国際放射線防護委員会は100ミリシーベルト以下の放射線被曝なら安全であると、っている。
答えは、
バツである。
これだけを読むと、まるで「国際放射線防護委員会」が「しきい値アリ仮説」を認めているように見える。しかし良く読むと、最後の行は日本原子力学会が勝手に言っていることであり、しかも、1回だけ被曝の話である。
何度も言っているように、今回の事故のような場合に問題になるのは、
撒き散らされた放射性物質による内部被曝である。内部被曝というのは、ヨウ素でも半年以上、セシウムの場合だと何十年も継続して被曝するわけであるから、1回だけの話など、どうでも良い。
実はよく読むとここでは明瞭に、「国際放射線防護委員会」が、
(1)急性の放射線障害には「しきい線量」を認め、かつそれより十分低くする、
(2)がんの発生率については、「しきい線量」がないものと仮定、
と決めた、と書かれている。つまり低レベル放射線被曝については、しきい線量はない。
ところがその直後に、
(3)1回だけ被曝する場合には100ミリシーベルト以上で比例、それ以下では有意な増加がない、
という「しきい値アリ仮説」が書かれている。
それゆえ、この部分を正確に解釈するなら、
(1)高レベル被曝による急性の障害にはしきい値がある。
(2)低レベル被曝によるがんや白血病の発症にはしきい値がない。
(3)1回だけならしきい値があるかもしれないが、(2)には関係ない。
という内容である。そういう風に解釈できた方はおられただろうか?多分、いないだろう。何しろ、私でさえ、「あ、こいつら、しきい値仮説を唱えている」と思ってしまったくらいだからである。
彼らのやっていることは、
(1)国際放射線防護委員会という権威あるところの勧告に表面上従う。
(2)しかしそれと関係ない紛らわしい話を入れる。
(3)そうすることで、ある水準以下の放射線なら「安全」だという印象を創りだす。
ということである。つまり、この連中は、
人を騙そうとしているのである。
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- 2011/03/17(木) 19:18:34|
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