森桜さんからのメール
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みなさま
森桜です。
松隈洋ともどもお世話になっております。
たびたび同送のご連絡でたいへん失礼いたします。
5/28に公表された新国立競技場基本設計説明書につきまして、
5/30にお知らせしたとおり、松隈が重大な誤記を指摘しましたが、
本日6/18、JSCはその事実を認め、添付のとおり訂正を発表しました。
この訂正に対して、松隈は下記の見解を述べております。
ごらんいただきまして、引き続き正確な情報の提供を求める取材や活動を
続けていただきたいと松隈が申しております。
◎
「5月28日(水)開催 国立競技場将来構想有識者会議(第5回)
資料に関する訂正について」発表に対する見解
1.
訂正の根拠を「設計図面(手書き)の縮小版の縮尺を事実と異なって読み取り」
としているが、「周辺環境との調和」の根拠として示されている重要な数値の間違いと
して、到底看過できない。
というのも、「地点(4)(5)からの高さイメージ」と記されているように、
現国立競技場のバックスタンド最上部のフェンスの高さの見え方と、
新国立競技場の見え方が同じであり、問題はない、と説明するための図面だからである
。
訂正後の図面を見れば、明らかに、新国立競技場が、現国立競技場の高さよりも
大きくはみ出すことが理解できる。
これによって、この説明の根拠がなくなることを見なければいけないと思う。
2.
意図的な作為にも思える理由の第2点は、訂正図から「聖火台」が消去されて
いることである。
「聖火台」がスタンドの最上部にあることは明らかなのに、訂正前の図面には、
聖火台よりも上にスタンドが描かれていた。
このことは、上記の「周辺環境との調和」を説明するために、意図的にスタンドを
書き加え、さらに数値も、新国立競技場が隠れるように調整したとしか思えない。
3.
補足すれば「フェンス頂部の高さ」を記していること自体にも、疑念が残る。
というのも、現国立競技場では、できるだけ景観への影響を抑えるべく、
スタンド最上部には、立ち上がりの壁(てすり)は設けず、
縦格子のフェンスを床面から設けることにする設計上の工夫が施されているからである
。
そのことによって、外からは、格子越しに空が見えるようになっている。
今回の高さの表記は、新国立競技場の立ち上がる壁面とより正確に比較しようと
するなら、設計の意図どおり、床面の高さを比べることが正しい。
影響が少ないとするための意図的な数値の選択だと疑われても仕方のない表記である。
いずれにしても、これほど重要な説明に使用される図面が間違っており、
それによって基本設計が承認されるということ自体、
今回の計画を進めるにあたって、過去にこの場所のもつ景観を何とか守ろうとしてきた
先人たちの努力をまったく共有せず、歴史的文脈を無視して、乱暴に進めていることの
証左であると思う。
模型すら一般に公開されないことも含めて、公平な議論をあらかじめ拒否するものと
言わざるを得ません。
2014年6月18日
松隈洋
matukuma@kit.jp
t/f 075-724-7641(研究室直通)
◎
以上です。
どうぞよろしくお願いします。
森 桜 拝


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- 2014/06/18(水) 23:13:22|
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