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マイケル・ジャクソンの思想

【東大話法の見本】池内恵東京大学准教授「「イスラーム国」による日本人人質殺害予告について:メディアの皆様へ」という記事について

私も忙しいのだから、かんべんして欲しいのだが、これは飛びつかずに居られない格好のサンプルなので、解析しておく。

===========
なお、以下のことは最低限おさえておかねばなりません。箇条書きで記しておきます。

こうやって「最低限」と頭から押さえつけるように言うのである。これは

【東大話法規則】12 自分の議論を「公平」だと無根拠に断言する。

の変形である。

*今回の殺害予告・身代金要求では、日本の中東諸国への経済援助をもって十字軍の一部でありジハードの対象であると明確に主張し、行動に移している。これは従来からも潜在的にはそのようにみなされていたと考えられるが、今回のように日本の対中東経済支援のみを特定して問題視した事例は少なかった。

何を言いたいのかよくわからないが、少なくとも、

【東大話法規則】16 わけのわからない理屈を使って相手をケムに巻き、自分の主張を正当化する。

という専門家ぶった煙幕として機能している。

*2億ドルという巨額の身代金が実際に支払われると犯人側が考えているとは思えない。日本が中東諸国に経済支援した額をもって象徴的に掲げているだけだろう。

まぁ、そうだろうが、その根拠はどこにあるのだろうか。

【東大話法規則】5 どんなにいい加減でつじつまの合わないことでも自信満々で話す。

で信頼感を醸成する作用がある。


*アラブ諸国では日本は「金だけ」と見られており、法外な額を身代金として突きつけるのは、「日本から取れるものなど金以外にない」という侮りの感情を表している。これはアラブ諸国でしばしば政府側の人間すらも露骨に表出させる感情であるため、根が深い。

これは池内氏自身が、特定の偏った感情を「アラブ諸国」に対して抱いていることを示唆している。根が深い。

【東大話法規則】6 自分の問題を隠すために、同種の問題を持つ人を、力いっぱい批判する。

である。


*「集団的自衛権」とは無関係である。そもそも集団的自衛権と個別的自衛権の区別が議論されるのは日本だけである。

これは強烈なパンチである。しかしたとえば、NATOはその理念の中心を The principle of collective defence 集団的防衛の原則に置いている。

http://www.nato.int/cps/is/natohq/topics_110496.htm?

これが中心原則になる、ということはつまり彼らが単独の防衛と集団的防衛とを明確に区別しているからである。実際、スイスやオーストリアは「永世中立」を掲げて集団的防衛を否定してきた。オーストリアは1995年にEUに加盟し、NATOとも関係を持ったので、厳密な意味での永世中立は放棄したことになる。このときオーストリアでは激しい議論が行われたが、これは個別的防衛でいくのか集団的防衛に参加するのか、という議論である。

問題は、日本に憲法第九条があるので、本来は戦力を放棄しているずだというところにある。それゆえ「自衛権があるのかないのか」ということろが問題になって、そのために、集団的防衛の権利があるのかどうか、という議論になってしまうわけである。それゆえ「集団的自衛権」という奇妙な概念が出てきたのである。それだけのことであって、「そもそも集団的自衛権と個別的自衛権の区別が議論されるのは日本だけである」という言葉はおかしい。

(1)日本では欧米諸国と異なって、自衛権があるのかないのか、が議論になる。
(2)集団的防衛に参加するかどうかは、どこの国でも議論になりうる。
(3)しかし(1)の問題があるので、「個別的自衛権」「集団的自衛権」という特殊な用語が使われる。

という風に言わねばならない。

【東大話法規則】16 わけのわからない理屈を使って相手をケムに巻き、自分の主張を正当化する。

である。

ちなみに、BBCの以下の記事でもわかるように、日本の両者の区別をイギリスが<議論>している。

http://www.bbc.com/news/world-asia-28122791


現在日本が行っており、今回の安倍首相の中東訪問で再確認された経済援助は、従来から行われてきた中東諸国の経済開発、安定化、テロ対策、難民支援への資金供与となんら変わりなく、もちろん集団的・個別的自衛権のいずれとも関係がなく、関係があると受け止められる報道は現地にも国際メディアにもない。今回の安倍首相の中東訪問によって日本側には従来からの対中東政策に変更はないし、変更がなされたとも現地で受け止められていない

一般に、何かが「ない」ことを証明するのは非常に困難であって、ひとつでも反例を挙げられたら終わりであるから、学者は、通常、このような言葉の使い方をしないものである。これだけ「ない」という根拠なき断言を繰り返す人の発言を信用することは、私にはできない

【東大話法規則】9 「誤解を恐れずに言えば」と言って、嘘をつく。

の類だと判断する。


そうであれば、従来から行われてきた経済支援そのものが、「イスラーム国」等のグローバル・ジハードのイデオロギーを護持する集団からは、「欧米の支配に与する」ものとみられており、潜在的にはジハードの対象となっていたのが、今回の首相歴訪というタイミングで政治的に提起されたと考えらえれる。

上の「ない」の連打に根拠がない以上、この推論にも根拠がない。

【東大話法規則】5 どんなにいい加減でつじつまの合わないことでも自信満々で話す。

である。

安倍首相が中東歴訪をして政策変更をしたからテロが行われたのではなく、単に首相が訪問して注目を集めたタイミングを狙って、従来から拘束されていた人質の殺害が予告されたという事実関係を、疎かにして議論してはならない。

これも同じことである。こんな証明不可能なことを、「事実」と称して論証を疎かにする文章を書いてはならない。


「イスラーム国」側の宣伝に無意識に乗り、「安倍政権批判」という政治目的のために、あたかも日本が政策変更を行っているかのように論じ、それが故にテロを誘発したと主張して、結果的にテロを正当化する議論が日本側に出てくるならば、少なくともそれがテロの暴力を政治目的に利用した議論だということは周知されなければならない。

「イスラーム国」のところに「安倍政権」を入れてみよう。

「安倍政権」側の宣伝に無意識に乗り、「安倍政権批判」の批判という政治目的のために、あたかも日本が政策変更を行っていないかのように論じ、それが故にテロを誘発したのではないと主張して、結果的に政治謀略を正当化する議論が日本側に出てくるならば、少なくともそれがテロの暴力を政治目的に利用した議論だということは周知されなければならない。

池内氏はこのような議論をしていないだろうか。


「特定の勢力の気分を害する政策をやればテロが起こるからやめろ」という議論が成り立つなら、民主政治も主権国家も成り立たない。ただ剥き出しの暴力を行使するものの意が通る社会になる。今回の件で、「イスラーム国を刺激した」ことを非難する論調を提示する者が出てきた場合、そのような暴力が勝つ社会にしたいのですかと問いたい。

これも同じことが出来る。

「特定の勢力の気分を害する政策をやれば政治弾圧が起こるからやめろ」という議論が成り立つなら、民主政治も主権国家も成り立たない。ただ剥き出しの政治的暴力を行使するものの意が通る社会になる。今回の件で、「イスラーム国を刺激した」ことを非難する論調を圧殺する者が出てきた場合、そのような暴力が勝つ社会にしたいのですかと問いたい。


*テロに怯えて「政策を変更した」「政策を変更したと思われる行動を行った」「政策を変更しようと主張する勢力が社会の中に多くいたと認識された」事実があれば、次のテロを誘発する。日本は軍事的な報復を行わないことが明白な国であるため、テロリストにとっては、テロを行うことへの閾値は低いが、テロを行なって得られる軍事的効果がないためメリットも薄い国だった。つまりテロリストにとって日本は標的としてロー・リスクではあるがロー・リターンの国だった。

決して身代金を払わないイギリスとアメリカとの国民が、頻繁にテロのターゲットになっている事実はどう説明するのだろうか。


しかしテロリスト側が中東諸国への経済支援まで正当なテロの対象であると主張しているのが今回の殺害予告の特徴であり、重大な要素である。それが日本国民に広く受け入れられるか、日本の政策になんらかの影響を与えたとみなされた場合は、今後テロの危険性は極めて高くなる。日本をテロの対象とすることがロー・リスクであるとともに、経済的に、あるいは外交姿勢を変えさせて欧米側陣営に象徴的な足並みの乱れを生じさせる、ハイ・リターンの国であることが明白になるからだ。

「正当なテロの対象であると主張」という表現が奇妙だが、それはおいておこう。

こんな風に、リスクとリターンで議論できるものなのだろうか。それを一概に言えるほど、単純なことではない。もし日本が政策変更したとして、それで調子に乗って頻繁にテロを日本に仕掛けたら、それこそ日本人も怒り狂い、諸外国がとめるもの聞かずISISに襲いかかってくる可能性だってある。

それに、身代金は支払わないが、人道的援助の対象にISISを加えるという政策だってある。現に、そこに沢山の悲惨な状況にある人々がいるのであるから。もちろん、そんなことをしたら足並みが乱れるだろうが、過去の経緯を見れば明らかだが、足並みを揃えていたって、ISISを弱らせるのは非常に困難である。

考えて見ればよいが、タリバンのアフガニスタンや、フセインのイラクを崩壊させる前と、させた後は、どちらがマシだっただろうか。やればやるほど具合が悪くなっていないだろうか。それは理由は簡単であって、国家というものが、実は壊れやすいものだからである。

国家が強固で、簡単には壊れないのであれば、その国に戦争を仕掛けて負けさせたら、それでOKである。日本がその例だ。日本は、戦っている間は本当に下手くそで間抜けであったが、負けたとなると、急に立派になり、それこそ世界史上、如何なる国よりも立派に負けた。それゆえにこそ、その後の繁栄があったのだ。これは日本が世界に誇りうることだ。

しかし、国家が脆弱であるなら、戦争を仕掛けられると、国家そのものが崩れてしまうのだ。そうなると、戦争に勝つことも負けることもできず、両者は無秩序の泥沼に足をとられるのだ。

ISISをたたきつぶせば、何が起きるかというと、更なる無秩序が起きる。というより、ISISは、まさに無秩序そのものを栄養にして成長する怪物のようなものだ。無秩序を拡大すれば、ますます成長するのかもしれない。そういう極めて厄介な相手であると考えるべきだ、と私は思う。

今、必要とされていることは、秩序の再生だ。それは、外部からの強権によって実現できるものではない。その地域の人々の間に、暴力を超える力が生成されなければ、決してできないことなのだ。一体、どうやったらそんなことができるのか、私にもまったくわからないが、そのような極めて難しい問題に直面しているのだ、と私は考える。少なくとも、暴力を行使し続ける限り、無秩序は拡大していく。


*「イスラエルに行ったからテロの対象になった」といった、日本社会に無自覚に存在する「村八分」の感覚とないまぜになった反ユダヤ主義の発言が、もし国際的に伝われば、先進国の一員としての日本の地位が疑われるとともに、揺さぶりに負けて原則を曲げる、先進国の中の最も脆弱な鎖と認識され、度重なるテロとその脅迫に怯えることになるだろう。

この文章は何かに怯えているように見える。私には、池内氏が「先進国村」の村八分にあうことにおびえているようにしか見えない。より具体的に言うと、「集団的自衛権と個別的自衛権の区別が議論されるのは日本だけ」とか「リスク」とか「リターン」という言葉遣いから、中東関係の国際政治学関係の学会に池内氏が行った時に、欧米の学者から、ボロカスに言われるのに怯えているように感じる。

「イスラエルに行ったからテロの対象になった」といった発言が、欧米の偉い学者に伝わり、「反ユダヤ主義」の烙印を押されたら、先進国の一員としての日本の一員たる私の学会での地位が疑われるとともに、揺さぶりに負けて原則を曲げる、先進国の中の最も脆弱な鎖と認識され、度重なる学問的テロとその脅迫に怯えることになるだろう。

というのが私の読み取った内容だ。


特に従来からの政策に変更を加えていない今回の訪問を理由に、「中東を訪問して各国政権と友好関係を結んだ」「イスラエル訪問をした」というだけをもって「テロの対象になって当然、責任はアベにある」という言論がもし出てくれば、それはテロの暴力の威嚇を背にして自らの政治的立場を通そうとする、極めて悪質なものであることを、理解しなければならない。

これは、

「中東を訪問して各国政権と友好関係を結んだ」「イスラエル訪問をした」というだけをもって

というところがミソである。誰がそんな理由でテロが起きた、と言ったのであろうか。教えて欲しい。こういう極めて稚拙でトンチンカンな理由を出しておいて、

「テロの対象になって当然、責任はアベにある」という言論

に対してイメージ操作を行い、その上で「極めて悪質」と畳み掛けるような手口は、汚い。

これこそまさにテロの暴力の威嚇を背にして自らの政治的立場を通そうとする、極めて悪質なものであることを、理解しなければならない。
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  1. 2015/01/22(木) 17:28:15|
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