「格納容器は一億年に一回しか壊れない」「プルトニウムは飲んでも大丈夫」で有名な大橋弘忠教授が、「
プルサーマル公開討論会に関する経緯について」という凄い文書を出した。こんなものを書いて、何がおかしいのか、わからない、そういう人物が東大教授をやっていて、原子力を弄んでいる、ということを、広く国民に知っていただく意味で、非常に貴重な文書なので、
魚拓をとっておいた。まぁ、本人がどこがどうおかしいのか、わからないのだから、削らないとは思うが、周囲から圧力が掛かると削るかもしれないので、念のため。
以下、東大話法のサンプルとして、解析しておく。
何よりも、格納容器は壊れない、など、いわゆる原発推進トークを連発しておいて、それが事実によって否定された、という点を、完全に無視していることが、この文書の恐ろしいところである。そういうことが、認識から自動的に排除されるようになっているのである。これは、大橋氏が特別に変わった人だから、ではない。原子力関係者は、基本的に、こういうふうに考えているのである。こういう連中に原子力などを弄ばせてよいものか、本当に良く考えないといけない。
ついでに言うと、この文書を、東大教授や東大生に見せても、キョトンとして、「どこがおかしいの?」思う人が大半ではないか、と私は疑っている。エリートには、こういう人が実に多いのである。ただ、大半は、大橋教授ほど馬鹿ではないので、そういう人間であることは、バレないようにしている。
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プルサーマル公開討論会に関する経緯について
2012年2月28日
東京大学 大橋弘忠
プルサーマルに関して、これまで週刊誌で取り上げられ、ネットでも話題になっていることから、先輩後輩、同僚、友人、教え子、研究室学生などの方々に参照いただくため、ここに経緯をまとめておきたい。
いきなり意味がわからない。そういう身内に対して書くなら、直接、メールを送ればよさそうなものである。なぜわざわざ、こういう公開の場に書きながら、こういうことを言うのだろうか。「東大卒でもないお前らなんか、相手にしていないからな」という嫌がらせなのだろう。
1.プルサーマル公開討論会の本質
2005年12月に佐賀県主催で行われた討論会に登壇した。議事の様子は佐賀県のホームページで公開されている。
この討論会は、原子力の是非そのものではなく、プルサーマルを実施するにあたって安全上の問題がないかどうかを問うもの。私からは、安全確保の考え方を踏まえてプルサーマルは普通の燃料を使う場合と比べて同じ安全余裕をもっていることを説明した。
客観的に見て、プルサーマルに安全上の課題はない。技術的な問題点を追及するのは難しいだろう。これもあってか、反対派からは、水蒸気爆発が起こるのではないか、プルトニウムは1グラムで100万人が死ぬ、といった反原子力の一般的なプロパガンダが提示された。
開始早々、強烈である。「私からは、安全確保の考え方を踏まえてプルサーマルは普通の燃料を使う場合と比べて同じ安全余裕をもっていることを説明した。」というが、大橋氏はそういう<主張を一方的に展開>していたのであって、<説明>をしていたとはわたしには思えない。以下で確認して欲しい。
彼がここでやっていたのは、
規則5 どんなにいい加減でつじつまの合わないことでも自信満々で話す。ではないかと私は思う。
その上で、「客観的に見て、プルサーマルに安全上の課題はない。」と、見事に、
規則12 自分の議論を「公平」だと無根拠に断言する。に従っている。「技術的な問題点を追及するのは難しいだろう。」というが、それは彼が勝手言っているだけである。
「これもあってか、反対派からは、水蒸気爆発が起こるのではないか、プルトニウムは1グラムで100万人が死ぬ、といった反原子力の一般的なプロパガンダが提示された。」
というが、
規則8 自分を傍観者と見なし、発言者を分類してレッテル貼りし、実体化して属性を勝手に設定し、解説する。をやっている。自分こそ「推進派」の「一般的なプロパガンダ」をやっている、というのに、よく言うよ、である。
2.説明責任
推進派であろうと反対派であろうと、何か技術的なことがらを主張する際には、その根拠やそう思う理由を説明することが必要だ。それで、水蒸気爆発が起こるという根拠は何か、プルトニウム1グラムで100万人が死ぬと思う根拠は何かを聞いた。
水蒸気爆発については、根拠がないということだった。ちなみに、水蒸気爆発が起こるためには、溶けた金属が細かく分散してエネルギーをその場で静かに蓄える状態が不可欠。原子炉事故の場合には水蒸気爆発は起こらないと考えられている。
プルトニウム1グラムで100万人については、単に理念的な話をしているだけで、現実には起こり得ないこと、プルトニウムが水に溶けにくいことなどを指摘した。これもちなみに、米国でプルトニウムを誤って吸引した事故があり、また核実験で大量のプルトニウムが大気に放出されているにもかかわらず、これまでプルトニウムで死亡したという症例は確認されていない。「推進派であろうと反対派であろうと、何か技術的なことがらを主張する際には、その根拠やそう思う理由を説明することが必要だ。」というのはその通りだが、水蒸気爆発が起こらないことや、プルトニウムの安全性を証明する責任を負うのは、原発を運営している側あるいはその代弁者なのだから、大橋教授がそれをしないといけないのである。
「それで、水蒸気爆発が起こるという根拠は何か、プルトニウム1グラムで100万人が死ぬと思う根拠は何かを聞いた。」
というのは、
規則3 都合の悪いことは無視し、都合のよいことだけ返事をする。である。
3.プルトニウムは飲めるか
プルトニウムは水に溶けにくいので、仮に人体に入っても外へ出ていく、と述べたのが、それならプルトニウムは飲めるのか、飲んでみろ、となっているらしい。文脈を考えればわかるのに、いまどき小学生でもこんな議論はしないだろう。いきなり小学生を侮辱しているが、小学生に失礼極まりない。
規則10 スケープゴートを侮蔑することで、読者・聞き手を恫喝し、迎合的な態度を取らせる。である。プルトニウムが水に溶けないからといって「安全だ」というのは、それこそ文脈を考えてみれば、無茶苦茶な議論であることは、明らかであろう。水に溶けないことが、被曝した者にとって有利になるか不利になるかは、状況次第である。自分こそ、文脈を無視して、無茶苦茶な詭弁を弄するくせに、よく言うよである。
規則6 自分の問題を隠すために、同種の問題を持つ人を、力いっぱい批判する。が使われている。
4.話し方について
上のような経緯で、反対派の識者を追及し、追い詰めているように思われるのだろう。不遜だとか話し方が気に食わないという指摘を受ける。イデオロギーにあふれた原子力反対の立場からみれば、そういう強いバイアスで見ているからだと思う。受け取り方なのでどうしようもない。
ただ、自分のイデオロギーのみに基づいて、それに合うか合わないかだけで、これは正しい、あれは間違いという単純なスタンスは、何なのだろう。あの陳腐な詭弁で小出さんらを追い詰めたつもりだ、というのが、まず驚きである。もし追い詰めていたのなら、無礼を働いてイエローカードを出されたりはしないはずだ。追い詰められていたことを自覚しているから、ああいう愚かな振舞に出たのである。彼の言葉のおかしさは、イデオロギーの問題ではないことは、『原発危機と「東大話法」』で説明してあるので、読んで欲しいものである。
「ただ、自分のイデオロギーのみに基づいて、それに合うか合わないかだけで、これは正しい、あれは間違いという単純なスタンスは、何なのだろう。」
というのは、まさしく、彼自身の態度である。これは東大話法を使う人の特徴で、自分の属性を、自分の相手に押し付けるのである。
5.「やらせ」事件
この討論会について、九州電力のいわゆる「やらせ」が問題となった。私は、佐賀県から依頼されて登壇したもので、話す内容や質疑などについて九州電力からの連絡は一切なかった。
客観的にみれば、この種の討論会は、推進派も反対派も動員をしてそれぞれの立場から質疑を行うのは当然であり、違和感はない。国会答弁でも何でも同じだろう。目立ちたがり屋の弁護士さんが「やらせやらせ」と言い出し、それに社会全体が翻弄されただけではないだろうか。また「客観的にみれば」である。
規則12 自分の議論を「公平」だと無根拠に断言する。「この種の討論会は、推進派も反対派も動員をしてそれぞれの立場から質疑を行うのは当然であり、違和感はない」
と堂々と言っていることろが凄い。世の中、自分と同類の卑怯者だけでできている、と確信しているのである。それに、権力と利権とを持った主催者側が、そういう手口を使うのと、そういうものが無い側が動員するのとは、意味が全く違う。「目立ちたがり屋の弁護士さん」とひどいことを言うののは
規則10 スケープゴートを侮蔑することで、読者・聞き手を恫喝し、迎合的な態度を取らせる。の応用である。
6.マスコミ報道
この件に関しては、マスコミからの取材をすべてお断りしている。回答したことはない。技術的にわからなければ聞きに来れば良いのに、こちらへの連絡からしてそもそも、原子力反対の立場で問いを投げかけてくるものが多い。おそらく記事構成もすでに決まっているのだろう。
まったく面識のないある週刊誌記者は、いきなりメールを送りつけてきて、その日の何時までに文書で回答せよとのことだった。一体何様なのか。この点にかんしては、東大工学部から、関係者に勝手に発言しないようにと、緘口令が出ている、と大橋教授は私へのメールで言っていた。これは重大な問題だと考えるのだが、東大本部は何ら調査しない。
「技術的にわからなければ聞きに来れば良いのに、こちらへの連絡からしてそもそも、原子力反対の立場で問いを投げかけてくるものが多い。」
というのは、日本語が変である。
規則18 ああでもない、こうでもない、と引っ張っておいて、自分の言いたいところに突然落とす。であろう。
「まったく面識のないある週刊誌記者は、いきなりメールを送りつけてきて、その日の何時までに文書で回答せよとのことだった。」
記者は、締め切りのある記事を書いているのだから、いついつまでに返事してくれたら、記事に載せます、と書くだろう。何を怒っているのだろうか。
「一体何様なのか」
というが、そのまま大橋教授に言いたい。あなたは一体、何様なのか、と。
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- 2012/03/04(日) 00:56:37|
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