fc2ブログ

マイケル・ジャクソンの思想

福島原発:大前研一の解説(3月27日)



24分30秒あたりから、大切なことを言っている。3月14日の午後11時に下の3号機の爆発が起きている。その後、14日、15日、16日と、放射線量が異常に高くなっている。この段階で炉心溶融、圧力容器・格納容器の破損が生じていた、と考えるべきだと言っている。



下の記事でも、フランスの機関は、3号機の爆発で黒煙が上がったのは、炉心溶融物がコンクリートと化学反応したためだ、と指摘している。そうすると、圧力容器も格納容器もコンクリートの床もダメージを受けるので、放射性物質が直接、土壌に出ることになる。その後の、汚染水および海洋汚染の推移を考えると、合理的な推論と思う。

「圧力容器と格納容器の健全性は保たれている」

と繰り返していたが、あれは希望的観測に過ぎなかったのである。

尚、大前氏は、原子炉が廃棄物を捨てる場所のない、トイレのないマンションであることを指摘し、しかも高速増殖炉をやめろ、と言っている。もしこの二点を認めるなら、原子力は決してペイしないことになる。というのも、前者がなければ廃棄物の保持コストが無限大となるし、後者をやめるなら、プルトニウム増殖サイクルという無限に増える「夢の発電」(悪夢だと思うが)が実現しないので、原子力はコスト割れになるからである。

ところが大前氏は、原子力発電をやらないと電気が足りないからやらざるを得ない、と言っている。これは矛盾である。高レベル廃棄物の捨て場所がなく、高速増殖炉も使えないなら、原子力は赤字になる。プルトニウムをウランに混ぜて燃やすMOXを大前氏は肯定しているようだが、灯油ストーブにガソリンを混ぜるようなやり方を、なぜ受け入れられるのか、私には理解できない。

また大前氏は、再臨界があったとしても、大事故にはならないと言っているが、私は水蒸気爆発を軽視しすぎだと思う。2700度のものが、大量の水と接触したら、大爆発になるのではあるまいか。また、大前氏も、IAEAと同様に、どれかの原子炉が再臨界を起こすことによって、作業員が近づけなくなり、冷却ができなくなる、という連鎖的拡大のシナリオを無視している。こんなこと、絶対になってほしくないが、なぜこの可能性を無視するのか、私にはわからない。



================
【3月26日 AFP】フランス放射線防護原子力安全研究所(IRSN)は25日、地震と津波で深刻な状態に陥った東京電力福島第1原子力発電所1、2、3号機の「先行きは不透明」で、このような状態は「数週間、あるいは数か月」続く可能性があるとの見通しを示した。

 IRSNは、3号機の圧力容器で放射能漏れが生じた場合を想定して、今後考えられる環境汚染のいくつかのシナリオを検討した。

 3号機では今週、黒煙が上がったが、IRSNによると黒煙の原因の1つとして、コリウム(炉心溶融物)とよばれる放射性のスラグが格納容器のコンクリートと化学反応した可能性が考えられるという。

 コリウムが格納容器のコンクリートの床や、その他の放射性物質を封じ込めるための設備を溶かしてしまえば、放射性物質が土壌を通じて環境に放出される危険性が高まるという。

 東京電力(Tokyo Electric Power Co.、TEPCO)は25日3号機の圧力容器が損傷を受けている可能性があると述べた。経済産業省原子力安全・保安院(NISA)の西山英彦(Hideyuki Nishiyama)審議官も、原子炉が損傷を受けた可能性が高いと述べている。(c)AFP

【参考】フランス放射線防護原子力安全研究所の福島原発情報(英語・日本語)


http://www.afpbb.com/article/disaster-accidents-crime/disaster/2792610/7005562
スポンサーサイト



  1. 2011/04/01(金) 23:01:36|
  2. ブログ
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:0

福島原発:廃炉のコスト

原発というのは、徹底的に、とんでもないシステムである。

(1)濃縮ウランは100%アメリカ依存なので、こちらに交渉権はない。
(2)膨大な放射性廃棄物が出るが、捨てることも出来ない。
(3)特に、高レベル廃棄物は、数万年も持ち続けねばならない。
(4)事故が起きたらとんでもないことになり、何兆円も保障を払わねばならない。
(5)廃炉にするのに膨大なコストが掛かる。
(6)運営自体が非常に危険であり、つねに弱い人を被曝させねば維持ができない。

というわけで、総コストを真面目に計算したら、絶対に赤字になる。こんなものに頼るのは、そもそもおかしい。その上、日本は、

(★)地震津波列島で、しかも原発があるのは大抵、地震の多いところになる。

という事情がある。こんな島に原発を沢山つくったこと自体が、人類と地球に対する犯罪なのである。


===========
福島第一原発、廃炉は数十年がかり

 危機的な状態が続く東京電力福島第一原子力発電所1~4号機。

 東電の勝俣恒久会長は30日、これら4基を廃炉にする方針を示したが、喫緊の課題は、原子炉の冷却や放射能に汚染された大量の水の処理だ。廃炉に持ち込むには長い時間がかかり、専門家は「すべてを終わらせるには数十年がかりの作業になる」と指摘する。

 ◆短期的課題

 目の前にある最大の課題は、高濃度の放射能に汚染された大量の水処理だ。作業用トンネル(トレンチ)にたまっている汚染水だけで、計約1万3000トン。このほか、量は不明だが、タービン建屋の地下にある大量の汚染水も除去しなくてはならない。

 汚染水を除去できれば、原子炉本来の効率的な冷却機能復活への道が開ける。しかし、現状では汚染水に阻まれ、原子炉の制御機器を動かす外部電源ケーブルすら敷設できていない。

 内部の放射線が強すぎて機器の修理ができなかったり、汚染水の排水ができなかったりして、電源が回復しないといった事態も想定される。漏えいが続くと、一時的な保管場所にしている外部タンクでは間に合わなくなる。関係者から「新たな貯蔵場所を、早急に確保しなければならない」という意見が出ているのには、こうした背景がある。

 汚染水を除去できたとして、同原発からの放射性物質の大量放出を止め、安全な状態に持ち込むには、原子炉を「冷温停止」と呼ばれる段階にする必要がある。杉山憲一郎・北大教授は「外部電源で本来の冷却装置を動かし、水を循環させることができれば、1~2日で冷温停止に導ける」と話す。廃炉に向け、核燃料をさらに冷やして取り出せる状態にするには、さらに数年はかかりそうだ。

 一方、仮設ポンプで炉心に水を送り続ける現状が続くと事態はより深刻になる。海老沢徹・元京都大原子炉実験所助教授は「核燃料は少しずつ冷えていくが、冷温停止には少なくとも数か月を要するだろう」と、推測する。このシナリオだと、水の注入量は増え、汚染水も増える。

 ◆長期的課題

 最終的な廃炉には、数十年の時間がかかる。国内の商用原発として、初めて廃炉作業に入った茨城県の日本原子力発電東海発電所では、1998年の営業運転終了後、2021年までかけて段階的に進めている。

 廃炉は、燃料を取り出し、放射線量の低減を待つ。この間、発電機など汚染の少ない設備を先に解体、最後に原子炉の鋼鉄容器などを切断し地下深くに埋める。現在は熱交換器などの撤去作業中だ。

 しかし、原子炉や建屋が破損した福島第一原発の例では、こうした通常の手順通りに解体できるか疑問だ。松浦祥次郎・元原子力安全委員長は「今回は汚染低減作業に非常に手間がかかる。廃炉は恐らく20~30年では終わらない」と語る。

(2011年3月31日09時21分 読売新聞)
  1. 2011/04/01(金) 19:27:10|
  2. ブログ
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:2

福島原発:トレンチの汚染水

1ベクレルというのは、放射線核種が毎秒1個崩壊する、という意味である。1立方センチ当たり、1166万ベクレルというのは、1グラムの水のなかで、毎秒1166万個の放射性物質が崩壊している、という意味である。以前、東京の水が乳幼児に相応しくないという勧告が出たが、あのときは、210ベクレルのヨウ素が1キログラムあたり100ベクレルの基準値を二倍超えた、というような値であった。1キログラム内に、毎秒100個、放射性のヨウ素が崩壊する、というような水準である。

これに対してトレンチ内の水は、1キログラムあたり、116億6千万個の放射性物質が崩壊して放射線を出している。「運転中の原子炉内並みの強さ」というから、これはもう、圧力容器も格納容器もダダ漏れ、ということではないかと思われる。

==========

福島第1原発:「トレンチ」から4万倍の汚染水 2号機

福島第1原発2号機の汚染水の様子
 東京電力は31日、福島第1原発2号機タービン建屋外の「トレンチ」と呼ばれる立て坑内の汚染水から、1立方センチ当たり1166万ベクレルの放射性物質が検出されたと発表した。運転中の原子炉内の水の約4万倍に当たる高濃度の汚染水が建屋外に漏れ出ていることになる。

 内訳は、ヨウ素131が690万ベクレル、セシウム134が200万ベクレルなど。同原発の南放水口(1~4号機用)近くでは海水から高濃度の放射性物質が検出されており、東電は「トレンチの汚染水との関連性は否定できない」としている。

 また東電は、1~6号機のタービン建屋脇の地下水(地下約15メートルから採取)の分析結果も初めて公表した。4号機は建屋周辺にがれきが多く調査できなかったが、最も高かったのは1号機で、ヨウ素131が1立方センチ当たり430ベクレルと、運転中の原子炉内並みの強さだった。それ以外の地下水からも、放射能はやや低いが核燃料由来とみられる放射性物質が見つかった。

 5、6号機は現在、核燃料が制御可能な「冷温停止状態」にある。地下水から検出されたことについて東電は、他号機の水素爆発などで放出された放射性物質が降下し、地下にしみ込んだとみている。【山田大輔、日野行介】
  1. 2011/04/01(金) 09:19:35|
  2. ブログ
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:0

最新記事

最新コメント

カレンダー

03 | 2011/04 | 05
- - - - - 1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30

プロフィール

yasutomiayumu

Author:yasutomiayumu
FC2ブログへようこそ!

アクセスランキング

[ジャンルランキング]
その他
81位
アクセスランキングを見る>>

[サブジャンルランキング]
その他
74位
アクセスランキングを見る>>

全記事表示リンク

全ての記事を表示する