「じゃがたら」というバンドがあった。その名曲、「もう我慢できない」である。これこそ、日本社会の歪んだ本質を的確に表現している。バンドリーダーの江戸アケミ(えど アケミ、1953年7月1日 - 1990年1月27日)は、
「原発なんか作って、十年後、二十年後には、大変なことになるよ」
と予言していた。あまりにも鋭敏な神経を持つ彼は、その予言の示す事態の恐ろしさのあまり、精神の平衡を失い、自宅に風呂に入っているときに溺死してしまった。
歌詞はこちら
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- 2011/03/21(月) 18:20:43|
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武谷三男という偉大な物理学者・哲学者がいた。私は昔、岩波新書の
武谷三男編『原子力発電』を読んでいたく感心した。極めて重要な本なので、絶対に読んでほしい。ところが岩波書店のアホが絶版にしている。中古で60円から売っているので、早い者勝ちだ。
今回読みなおしてみて、このブログの議論も、大半は同書に拠っていることに気づいた。詳細は記憶していなかったのだが、大切なことが沢山書かれている。今回の事故がなぜ起きたのかも、きちんと説明されている。1976年に出た本である。「予見できなかった」などというのは、100%嘘である。
「知ってたけど、知らんぷりしていた」が正しい。
特に、武谷の「許容量は、がまん量だ」という思想は非常に重要である。これだけで、20世紀最大の科学者・思想家といって間違いない。
http://www.h-nisshou.com/yosist-3.htmに非常に良いまとめがあるので、これだけは最低、必ず読んで欲しい。放射能以外にも、一生、役に立つ。たとえばハラスメントにも同じ考えで対応できる。
既に述べたように、放射線には「しきい値」はない。それゆえ、どんなに微量でも害がある。ではどれだけの害ならいいか、というのは、科学的概念ではなく、社会的概念だというのである。たとえば病気になってレントゲン写真をとる場合、とらないよりもとったほうが治る確率が大幅に上昇するのであれば、多少のリスクは我慢しよう、ということになる。これが「許容量」であり、「がまん量」とでも呼ぶべきものなのだ。
「許容量という言葉があるが、これが長い間ゴマ化しに使われていた。つまり、ここまでは安全で、
ここから先は始めて危険であるというふうに使われていたわけだ。専門家はそれを値にとって、これは
許容量以下だから安全だといってきた。ところが許容量以下でも危ないということを最近はっきりさせたのが放射能の問題だ。このような蓄積的なものは許容量以下でも被害がある。」
この言葉に、マスコミ、政府、電力会社、御用学者は、何と応えるのだ。
- 2011/03/21(月) 17:44:56|
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ちょっと油断していたら、すぐにこういうことが起きた。決して予断を許さない事態であることに変わりはない。
http://ameblo.jp/anmintei/entry-10836865796.htmlで論じた昨日午後の赤外線写真から、3号機の使用済燃料プールは62度であった。そこから水が沸騰し、更に燃料棒が発熱して何かを焦がして灰色の煙が出るとは考えられない。ということは、
(1)赤外線写真が何か間違っている。
(2)別の火種がある。
のどちらかである。4号機の火災も、(1)が示すようにプールが平温であれば、決して起きないはずの事態である。また、停電している原発に別の火種があるとも考えられない。
そうすると、答は、
(1)赤外線写真が何か間違っている。である。先の記事で私は、
===============
これは、かなり良い知らせだ。
(防衛庁がデータを変造していない限りは。多分、やっていないだろう。)
===============
と書いた。どうもカッコの中が怪しい。意図的に変造していないとしても、都合の良いデータに飛びついた可能性は高い。とすると話は一挙に振り出しに戻る。
(1)4号機のプールが割れている可能性。
(2)水をたっぷり入れたはずの3号機のプールにさえ異常がある可能性。
(3)2号機の状態。
などなど。それより何より、
原子力安全欺瞞言語の健在が一番怖い。
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3号機から「やや灰色がかった煙」 福島第一原発
2011年3月21日17時1分 朝日新聞
東京電力は21日、東日本大震災で被害を受けた福島第一原発3号機で同日午後3時55分ごろ、原子炉建屋の屋上の南東よりの場所から、やや灰色がかった煙が発生しているのが見つかった、と発表した。煙は使用済み燃料プールがあるあたりという。電源復旧にあたっていた作業員を一時避難させ、現場を確認している。煙は少なくなっているという。当時は放水していなかった。
- 2011/03/21(月) 17:23:01|
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どちらかというと反原発のはずの朝日が、政府に対して融和的姿勢を示して、気持ち悪い報道を続けていたのに対して、明確に原発推進派の読売新聞が、原発に対してキツめの報道をしていたのが気になっていた。朝日が民主党、読売が自民党という関係になっていることが反映しているのであろうか。そんなことが反映すること自体、不愉快である。
読売新聞が明確に原発推進派であるのは、長く社主であった正力松太郎が日本に原子力発電を導入し、かつそのあり方を歪めた張本人だからである。
有馬哲夫(早稲田大学教授)によれば、正力松太郎は CIA に利用されつつ CIA を利用し、原子力発電を通じて政界に出て総理大臣になろうとしていたという。
そういうことと関係あるのか知らないが、読売新聞の記事にはアメリカの動向がよく出てくる。http://www.yomiuri.co.jp/feature/20110316-866921/?from=yoltop でざっと見ただけで、16日以降だけで以下のようなものがあった。
無人放水設備、米が4機提供へ (3月20日 03:04)
米の退避勧告圏は過剰?国際指針より厳しい基準 (3月19日 19:20)
米で微量のキセノン133…日常の百万分の1 (3月19日 12:22)
原発事故、自国民に退避を求めている主な国・地域 (3月19日 08:17)
日本の対応、各国に不安…正確な情報発信必要 (3月19日 01:32)
政府筋「東電が米支援は不要と」…判断遅れ批判 (3月18日 15:11)
日本政府は危機感欠如、不信といら立ち募らす米 (3月18日 14:18)
外国人の日本脱出続く…大使館機能の大阪移転も (3月18日 11:07)
米軍450人放射線事故専門部隊、日本へ派遣へ (3月18日 10:40)
福島第一原発、ヘリ放水直後の画像…米衛星写真 (3月18日 10:08)
原発事故直後、日本政府が米の支援申し入れ断る (3月18日 08:12)
欧米各国に広がる退避の動き…米は80km圏外 (3月17日 12:47)
米原子力委員長「4号機プールに水ないと思う」 (3月17日 10:04)
米西海岸は過剰反応、安定ヨウ素剤購買急増 (3月16日 23:05)
米大統領、原発新規建設の推進を確認 (3月16日 17:48)
米国から原子力専門家7人、新たに到着 (3月16日 17:48)
第一原発事故はレベル6または7…米機関が見解 (3月16日 09:56)
いずれにせよ、核エネルギーは、アメリカの世界戦略と不可分なものであり、イラン、インド、パキスタンの原子炉や原爆も、アメリカが昔、熱心に支援したからである。そういう側面を明らかにしてくれる意味で、読売新聞のアメリカ寄りの報道は貴重である。
そのなかに以下のような報道があった。アメリカは、まだまだ現状を危険視していると見て良いであろう。私は当然だと思う。被爆経験があり、放射能の恐ろしさを身を以て知っているはずの日本人が、原爆を落とした方のアメリカ人よりも楽観的になる、というのは、どう見てもおかしい。
最悪の事態は回避されつつあると思うが、既に事態はどうやって収束させたら良いか、見当のつかない状態になっている。炉心の容器が崩壊しているので、危なすぎて原子炉から取り出すことが出来ないからだ。お片づけのしようが無くなっているのである。
チェルノブイリでは全体がコンクリート固めとなって「石棺」というものを作って原子炉自体をなんとか閉じ込めているが、既に内部の放射能を持つ物質の発するエネルギーのために、石棺が崩壊しつつある。福島第一原発も、これから何十年にもわたる「おかたづけ」をしなければならない。まだ生まれていない人々まで、これの処理の片棒を担がされることになる。
===============
防護服1万着、米が提供…21日にも日本に空輸
福島原発
米政府は19日、東京電力福島第一原子力発電所の事故対応のため、核・生物・化学(NBC)兵器から身を守るための防護服1万着を提供することを決め、日本政府に伝えた。
21日にも日本に空輸される。日米関係筋が明らかにした。日本政府の要請に応じたもので、事故現場で作業する東電職員らに提供される。
米国はすでに、在日米軍が150着、原子力空母ジョージ・ワシントンから100着の防護服を自衛隊や東電に提供している。
防護服は、放射性物質などに汚染されると使い捨てにしなければならない。今後の作業では大量の防護服が必要と見られており、自衛隊や東電が所有する防護服だけでは足りなくなる可能性が高いことから、米国が大量提供に踏み切った。
(2011年3月21日07時55分 読売新聞)
- 2011/03/21(月) 13:09:38|
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原子炉の最悪の事態が回避されつつあるように感じる。
現段階では、農作物や水道に入った放射能を持つ物質の処理の方が問題だろう。
テレビで見たのだが、「放射能汚染された野菜を食べても全然、大丈夫」と太鼓判を押していた長崎大学の講師という先生様の顔が、ものすごく怖かった。目が寄っていて、引きつった顔をしている。本当はとても怯えているのに、それを「知識」で押し隠している、という風情で、こんな医者の言う事を聞いていたら、とてもじゃないが、命がいくつあっても足りない。
ハイパーレスキュー隊の指導者のような、放射能に対する知識ゆえの恐怖と、それを綿密な思考による対応によって克服する、という姿勢と、正反対である。こういう君子に説明してもらわないと、安心できない。
放射性物質が検出されたら、さっそく行政が責任逃れの対応を始めた。
茨城のホウレンソウがやられたから、茨城のホウレンソウは全部出荷自粛。
福島の牛乳で放射能が出たから、福島の牛乳はぜんぶ自粛。こんなアホな対応があるだろうか。先が思いやられる。放射能が県境などの行政区画を確認しながら汚染してくれているとでも思っているのだろうか?これでは、
放射能を持つ物質の汚染の被害を抑制するには不十分で、かつ風評被害を拡大する
という効果があるように私は感じる。こんなことを言っておいて、放射能や原発の危険性を指摘する人には、
風評被害が拡大するから黙れ、非国民!!というのは無茶苦茶である。
やらないといけないことは、
(1)どの程度の放射性物質の汚染が生じているかについての詳細な調査。
(2)汚染状況の迅速な公開。
(3)迅速な除染などの対応。
(4)被害を受けた農家への迅速な経済的、精神的サポート。
といったことではないかと思う。
- 2011/03/21(月) 12:35:31|
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自衛隊のヘリが撮影した赤外線写真が公開された。これを見ると、一番心配な2号機の天井は、床暖房くらいの温度のようである。4号機のプールも水が入っているとしか考えられない。42度なら、ちょうどよいお風呂である。使用済み核燃料がむき出しになって水素が出るなら、1000度とかになっているはずだ。ということは、4号機のプールが割れているというアメリカの主張は間違いである。3号機の格納容器のてっぺんも128度であれば、当分、溶けない。1号機も一番熱いのがプールの58度のようだ。1号機は多分、格納容器を覆うコンクリートが吹き飛んでいないのだと思う。
これは、かなり良い知らせだ。
(防衛庁がデータを変造していない限りは。多分、やっていないだろう。)
あと、高レベルの放射線を出している瓦礫を戦車で片付けて、電源が回復すれば、落ち着く見込みが出てきた。
ふ~~~~~~~~~~~~~~
とはいえ、敵は勝手に熱くなる核燃料なので、どういう逆転があるかわからないが、当分は炉心の全面溶解や水蒸気爆発は起きないだろう。しばらくニュースを見ないで放置しようと思う。肩こりのほうが健康被害が深刻だ。
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福島第1原発:「全プール100度未満」防衛相
福島第1原発の放射温度写真=防衛省技術研究本部撮影
北沢俊美防衛相は20日夜、記者会見し、陸上自衛隊ヘリCH47Jで同日午後行った福島第1原発1~6号機の表面温度計測結果について、使用済み核燃料プールの温度は「すべて100度未満だった」と発表した。「原子力安全・保安院の専門官からは『プールには水が入っている』との指摘があった」と語った。
防衛省によると、高度約900メートルから赤外線を使い計測。建屋上部が吹き飛ばされ、放水作業が続く3号機は62度と最も高く、1号機58度、4号機42度で、建屋が破壊されていない2、5、6号機(天井部分)は35~24度と低かった。また、プール以外では3号機の原子炉の格納容器上が128度と高かったが、北沢防衛相は「炉心の上なので想定の範囲内というのが専門家の見解だ」と述べた。【本多健】
毎日新聞 2011年3月20日 23時21分(最終更新 3月21日 11時07分)
- 2011/03/21(月) 12:20:27|
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アメリカ軍の無人偵察機による写真が公開された。しかし小さくて良く見えない。
ニューヨーク・タイムズには、これを使ったわかりやすい原子炉の状況表が出ている。
気になることを怖い順に列挙しておく。
(1)2号機になんだか穴が空いていて、白煙が出ていること。
(2)既に述べたように、アメリカが4号機のプールが破損していると言っていること。
(3)3号機の格納容器の圧力が一時期上がっていたこと。
(4)1号機が何の音沙汰もないこと。
日本中はもう、原子力安全欺瞞言語に浸って、福島原発について考えるのをやめたようである。そのなかで、真宗大谷派(東本願寺)が、親鸞聖人の50年に一度の大法要(御遠忌)を中止し、「被害者支援のつどい」を行うという大英断を行った上に、教団の総長が
「悲惨な事故を生み出す原子力発電所に頼る生活を営んでいるのは他ならぬ私たち。一人ひとりが原子力に依存する現代生活を考え直さないといけない」
と明言したことは特筆に値する。なぜこのように言うのかというと、原発ライフが自己欺瞞の極致であり、親鸞の他力の教えと真っ向対立するからではないか、と私は考える。
ちなみに、真宗大谷派では「門主」といわず「門首」というし、念仏は「唱える」でのはなく「称える」と書く。こんなに大事なポイントで間違えるのは失礼というものである。
なぜ「門首」というかというと、大谷派では、30年に及ぶ激しい闘争の末に大谷家の実権を奪って完全に象徴化したからである。一門の主ではなく、門徒の首長だということで、「門首」と改称された。また、念仏とは阿弥陀如来の名を称えて呼ぶことであるから、「称える」という。
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4200人の念仏響く 京都・東本願寺で被災者悼む法要
2011年3月20日18時26分 朝日新聞
東本願寺(京都市下京区)で19日、大震災の犠牲者を悼む「被災者支援のつどい」の法要が始まった。門徒ら約4200人が、親鸞像を納めた御影堂に参拝し、僧侶らと念仏を唱えた。門徒らは境内に設置された募金箱に義援金を入れ、親鸞像に手を合わせていた。法要は28日まで。
大谷暢顕(ちょうけん)門主は「尊い生命を奪われた方々に哀悼の意を表し、今なお苦しい生活を余儀なくされている方々にお見舞い申し上げる」とあいさつ。続いて、安原晃宗務総長が「悲惨な事故を生み出す原子力発電所に頼る生活を営んでいるのは他ならぬ私たち。一人ひとりが原子力に依存する現代生活を考え直さないといけない」と話した。
東本願寺は19~28日、浄土真宗の宗祖・親鸞の750回忌法要を行う予定だったが、15日に中止を発表。法要の内容を被災者支援にした。
一方、西本願寺は「共に悲しみ、共に苦しむ」親鸞の遺志をついで、750回忌法要を4月9日から予定通り行う。(竹田真志夫)
- 2011/03/21(月) 00:40:59|
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