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マイケル・ジャクソンの思想

福島原発:「信じられないほど場当たり的」

日経新聞によると、EUの議会でエネルギー担当の欧州委員が、

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原発事故への日本の対応について「信じられないほど場当たり的」と批判。「もはや技術的能力の問題だ。日本の技術力に関するわれわれの評価を見直さなければならない」と述べた。
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と批判した。的確である。

なぜこのような「信じられないほど場当たり的」となるかというと、事実から目を背け、欺瞞語を弄ぶからである。ニュースで福島第一原発から逃げてきた職員のインタビューが出ていたが、驚いたことに地震後に「自分の判断でどこにでも行ってよい」と言われたので、大半の人は帰宅したという。なぜかというと「原発は安全だと聞かされていたので、大丈夫だろうと思った」と言っていた。

こういう欺瞞語によって思考する訓練を積んだ人間は、事実を認識できなくなる。そして他人から自分がどう見られているか、だけで動くことになる。それゆえその言葉に真実はなく、行動に効果はない。やってるフリになるからである。日本社会は、急速に「やってるフリ社会」となっている。これが最大の問題であり、今回の事故もその一つの表象に過ぎない。

東電をはじめ全ての電気会社および政府および原子力御用学者は、原子力欺瞞語を駆使して「原発安全ごっこ」を演じてきた。そうして事実から目を背けて、「きまり」に盲目的に従う姿勢を確立したために、この期に及んでも、創造的に対処することができないので、「信じられないほど場当たり的」となる。なぜなら、こんな事態にはマニュアルがないからである。

これは原発関係者に限ったことではなく、日本社会全体が陥っている罠である。ここから抜けださなければ、何も始まらない。事態は時々刻々と破局へ向かっていく。今回の事故は、社会全体が陥っている状況への警鐘として受け止めなければならない。我々がすべきことはただ一つである。

名を正す。

その勇気を持つことである。それが日本の技術力を取り戻す道でもある。福島原発は制御不能に陥っている。それはまぎれもない事実であり、欧州委員が謝罪すべきことではない。

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「原発事故は制御不能」 欧州委員発言で欧米株急落
2011/3/17 13:50 日経新聞

 【ブリュッセル=共同】欧州連合(EU)のエッティンガー欧州委員(エネルギー担当)は16日、欧州議会で福島第1原発事故について「制御不能に陥っている」などと発言、これを受けて欧州、米国の株式市場は一斉に急落した。

 同委員の報道官は「個人的な懸念を表明したものだ」と釈明し、発言を事実上撤回。国際原子力機関(IAEA)の天野之弥事務局長は「この時期に『制御不能』などと言うべきでない」と苦言を呈した。

 エッティンガー委員は「今後数時間以内に、日本国民の生命を脅かすさらなる大惨事が起きる可能性がある。すべては神のおぼしめし次第だ」などと述べた。

 同委員の報道官はロイター通信に対し、「委員は報道を見て、事態がさらに悪化するとの個人的懸念を表明した」などと述べ、事態の沈静化に動いた。

 委員は日本の原発事故について、IAEAや報道を通じて情報を得ているとされ、独自の情報源は持っていないという。

 欧州議会で委員はこのほか、原発事故への日本の対応について「信じられないほど場当たり的」と批判。「もはや技術的能力の問題だ。日本の技術力に関するわれわれの評価を見直さなければならない」と述べた。
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  1. 2011/03/17(木) 23:58:07|
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福島原発:電源回復の可能性と原子力欺瞞語

福島第一原発:全体的な見通し。名を正すべし。」という記事で、

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【(3)なんとかなるのか?】

これもわからないが、

(1)自衛隊のヘリコプターと機動隊の放水車による注水が成功する→使用済み燃料が安定化。
(2)現在行われている電源回復工事が成功。
(3)緊急冷却装置などの設備が運良く動いてくれる。

という幸運が重なれば、少なくとも事態の悪化を止められる。
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と書いた。しかし(1)は、あえなく失敗した。というより、最初から目のない話だったのである。大の大人が大真面目にやっていて、マスコミも持ち上げており、しかも多くの自衛隊員、警察官、東電職員にかなりの被曝を強いるのであるから、多少は効果のある案なのかと思っていた。しかしそれは、単なるショーだったのである。被曝した人々に何と説明する気なのであろうか。

本気でやるなら、ヘリコプターは100台は必要だっただろう。それなら一機で2トンくらいしか掛からなくとも、200トンくらいになり、1200トンのプールも底の方には水が入った。これだと、つなぎにはなっただろう。

(2)についてであるが、最後につけた朝日新聞の記事は期待を持たせる。しかし、下の毎日新聞の記事の抜粋を見れば、事態はそう簡単ではないことがわかる。まず、原子力欺瞞言語の「(電源復旧の)実現性はかなり高い」は、「多分ダメ」の言い換えではないか不安である。

最大の問題は、たとえ電源が復活しても、2号機以外は多分無理だ、ということだ。それでも、2号機が大人しくしてくれれば、放射線レベルが下がり、人間側の活動領域が拡大される可能性がある。なんとかなってほしいものである。

しかし、冷静に考えてみて、もしそんなに簡単に復旧するものなら、どうして最初からやらなかったのか、という問題がある。理由を考えてみたが、以下が考えられる。

(1)津波でひどい状態だったので、全部駄目だと思い込んでいたが、調べたら2号機は浸水していないことがわかったのでやり始めた。
(2)どうせ駄目だと思っていたが、万策尽きたのでやってみることにした。
(3)人員不足で目の前の給水や蒸気抜きに追われていた。放射線レベルが上がって活動できなくなってきたので、電源に手をつけた。

上層部が、上の自衛隊と機動隊とを愚弄するショーを演出するような連中であることを考えると、(2)の可能性が高いように感じる。もしそうだとすると、上の「(電源復旧の)実現性はかなり高い」は、原子力欺瞞用語だということになる。

下の毎日新聞の記事と、朝日新聞の記事の違いは、なぜ2号機から始めるかの理由の説明の違いにある。毎日は、

「唯一配電盤が水没しなかった2号機の電気系統回復が頼みの綱」

と書いている。合理的説明である。これに対して朝日は、

「放水が始まった3、4号機より先に、まず2号機で始める。」

と誤魔化している。これでは戦時期の大本営発表の「転進」と全く同じやり方である。大本営は、ガダルカナル島で敗北した日本軍が撤退したことを、

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ソロモン群島のガダルカナル島に作戦中の部隊は昨年8月以降、激戦敢闘克く敵戦力を撃摧しつつありが、その目的を達成せるにより、2月上旬同島を撤し、他に転進せしめられたり
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と伝えた。朝日新聞の報道は、

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ヘリコプターと放水車による3号機、4号機の使用済燃料への注水作戦を推進し、その目的を達成せるにより、部隊は両機を撤し、第2号機の電源復旧作戦へと転進せしめられたり
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と言っているようなものである。それゆえ朝日の記事を読むと読者は、

「なるほど!自衛隊と機動隊との奮戦によって、3、4号機は制圧されたので、次に2号機へと進むわけだ。皇軍ガンバレ!負けるなニッポン!」

という白白とした明るい気分になるのである。


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毎日新聞 2011年3月17日 20時55分

一方、2号機の電源復旧作業は17日午前から、東電職員ら30人の手で始まった。被ばく人数を抑えるため、平時より少ない態勢だ。

 非常用電源が失われた1~4号機のうち、唯一配電盤が水没しなかった2号機の電気系統回復が頼みの綱。作業では放射線量の比較的低い海側に変電盤を仮設し、建屋の各機器などと接続していった。担当者は「少ない工事量で復帰するよう計画している。(電源復旧の)実現性はかなり高い」と強調する。

 ただし、電源復旧は原子炉冷却のための入り口に過ぎない。まずは海水を送り込むポンプの作動試験をする必要があるが、16日夕には東京・内幸町の本店との連絡回線を切断するミスも起きた。7時間後の復旧までの間、水位計などのデータのやり取りは衛星携帯での通話でしのいだ。

 東電は2号機との間の回線が生きている1号機も、近く電源復旧が可能とみる。しかし、3、4号機は新たな外部電源をひく必要があり、復旧には時間がかかる見通し。また、使用済み核燃料プールの水温が上昇している5、6号機では、5号機の非常用電源が機能していない。6号機の電源を5号機につないでいるものの、東電は「この状態が長く続けば1~4号機のように温度が上昇する」と焦燥感を募らせる。
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福島第一の電源、18日復旧か 冷却装置稼働の可能性も

2011年3月17日22時5分 朝日新聞

 東日本大震災で壊滅的な被害を受けた東京電力福島第一原発の電源が、18日にも復旧しそうだ。電源の喪失は復旧を阻む最大の障害だった。原発を運転するには大量の水をポンプで循環させ、核燃料から出る熱を冷やす必要があるが、地震で送電が止まり、非常用電源も動かなかった。水の循環や給水が可能になれば、危機的な状況に光がさす。

 復旧に向けた作業は17日早朝に始まった。東電によると、原発の敷地内で約320人の作業員が参加した。

 福島県内に電気を供給している東北電力の送電線を補修して電気を引き込む。作業に10~15時間ほどかかる。放水が始まった3、4号機より先に、まず2号機で始める。

 送電が再開できれば、事故時などに原子炉を冷却する緊急炉心冷却システム(ECCS)を動かすポンプを起動できる可能性もある。ECCSが動けば、原子炉の下部にある巨大プール、圧力抑制室の大量の水を原子炉格納容器や圧力容器に送り込める。

 さらに、圧力容器や使用済み核燃料のプールにも水を循環させ、核燃料からしばらく出続ける余熱を冷やす。プールの温度が上昇し、燃料が露出して破損するなどの事態の拡大を防ぐ。

 ただ、地震や津波、その後の火災や爆発の影響で、ポンプや変圧器などの設備が壊れている可能性もある。設備が壊れていれば、送電しても作動しない。正常に作動するか逐一確かめながらの作業となる。
  1. 2011/03/17(木) 22:29:40|
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福島原発:日本原子力学会の「線形しきい値アリ仮説」

日本原子力学会が「東京電力福島第1/第2発電所の事故について 放射線のレベルについて(公表されている放射線量はどのような意味を持つのか) 」という文書を出した。

まずは、めんどくさがらずに、次の文章を丁寧に読んでいただきたい。

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・ 国際放射線防護委員会が職業上放射線被ばくを伴う業務の従事者や一般公衆に対して勧告している被ばくの上限値を線量限度といいます。この線量限度は次の考えにもとづいています。
(1)急性の放射線障害の発生を防止するため、しきい線量(実際に影響が現れる最低の線量)よりも十分低く定める、(2)がんの発生率に関してはしきい線量がないものと仮定した上で、一般社会で許容できる程度の線量とする。この考え方に基づき、一般公衆の線量限度は1年間に 1000μSv ですが、職業人は5年間の平均が 20000μSv/年となっており、ある年に 20000μSv を超えても他の年に下回っていて平均で 20000μSv/年を超えなければよいという勧告になっています。なお、線量限度には自然放射線と医療による被ばくは含みません。
・ 1回の被ばくで 100000μSv(100mSv)を大きく超えた場合にはガンの発生確率が被ばく量に比
例して増加するとされていますが、それ以下の被ばくではガンの有意な増加はみられていません。

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では質問である。以下の文章は正しいか間違っているか。

国際放射線防護委員会は100ミリシーベルト以下の放射線被曝なら安全であると、っている。

答えは、バツである。

これだけを読むと、まるで「国際放射線防護委員会」が「しきい値アリ仮説」を認めているように見える。しかし良く読むと、最後の行は日本原子力学会が勝手に言っていることであり、しかも、1回だけ被曝の話である。

何度も言っているように、今回の事故のような場合に問題になるのは、

撒き散らされた放射性物質による内部被曝

である。内部被曝というのは、ヨウ素でも半年以上、セシウムの場合だと何十年も継続して被曝するわけであるから、1回だけの話など、どうでも良い。

実はよく読むとここでは明瞭に、「国際放射線防護委員会」が、

(1)急性の放射線障害には「しきい線量」を認め、かつそれより十分低くする、
(2)がんの発生率については、「しきい線量」がないものと仮定、

と決めた、と書かれている。つまり低レベル放射線被曝については、しきい線量はない。
ところがその直後に、

(3)1回だけ被曝する場合には100ミリシーベルト以上で比例、それ以下では有意な増加がない、

という「しきい値アリ仮説」が書かれている。

それゆえ、この部分を正確に解釈するなら、

(1)高レベル被曝による急性の障害にはしきい値がある。
(2)低レベル被曝によるがんや白血病の発症にはしきい値がない。
(3)1回だけならしきい値があるかもしれないが、(2)には関係ない。

という内容である。そういう風に解釈できた方はおられただろうか?多分、いないだろう。何しろ、私でさえ、「あ、こいつら、しきい値仮説を唱えている」と思ってしまったくらいだからである。

彼らのやっていることは、

(1)国際放射線防護委員会という権威あるところの勧告に表面上従う。
(2)しかしそれと関係ない紛らわしい話を入れる。
(3)そうすることで、ある水準以下の放射線なら「安全」だという印象を創りだす。

ということである。つまり、この連中は、

人を騙そうとしている

のである。
  1. 2011/03/17(木) 19:18:34|
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福島第一原発:自衛隊員を被曝させた焼け石に水

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毎日新聞 2011年3月17日 11時42分(最終更新 3月17日 13時10分)より抜粋

福島第1原発の使用済み核燃料プールの大きさは、縦横約10メートル、深さ約12メートルで、燃料棒(長さ約4メートル)を十分に冷やすため、通常1100~1200トンの水で満たされている。一方、自衛隊のヘリから放水された水は4回で最大計30トンで、すべてがプールに入ったわけではない。小林圭二・元京都大原子炉実験所講師(原子炉物理)は「プールの水量が減っている今、注水は必要な行為だ。だが、

今回の放水は『焼け石に水』程度の効果しかないだろう。

期待したいのは、外部電源の回復によって、プールへの給水ポンプが復旧すること。電源回復までのつなぎとしても十分とは言えず、『やむを得ず試しにやってみた』というレベルではないか」と話す。

http://mainichi.jp/select/weathernews/20110311/news/20110317k0000e040050000c.html

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 「うまく行ってほしい。祈るような気持ちだ」――。陸上自衛隊ヘリが福島第一原発3号機などに向けて、17日午前に実施した4回の空中放水。テレビで見つめた陸自幹部の一人はうなるように言った。上空は毎時87.7ミリシーベルトという高濃度の放射線量の中での投下作業。最終的には、機長の判断で決行された。

http://www.asahi.com/national/update/0317/TKY201103170276.html

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私も祈るような気持ちであったが、映像を見て悲しくなった。どう見ても、あれではほとんど効果がないだろう。量が少なすぎる。これだけの危険を彼らに背負わせて、こんなことしかできないとは、ほとんど竹槍状態である。
  1. 2011/03/17(木) 15:29:49|
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福島第一原発:全体的な見通し。名を正すべし。

※少し追記した。

原発について色々書いているうちに、猛烈な肩こりになってしまった。少なくとも現時点では、放射線による健康被害よりも、肩こりの方が私にとって深刻である。枝野長官でさえ8時間休んだらしいから、職務上、何の関係もない私が、こんなことで疲れても意味が無いので、ペースダウンしたい。

色々調べて回った結果をまとめておきたい。言うまでもないが、私はど素人で、情報は全てマスコミ経由であるから、下記が真実かどうか、知らない。知らないが、そういう情報を私自身の思想に基づいて分析し、まとめたものであり、その点においてのみ意味がある。これが後に明らかになることと、全くかけ離れていれば、私の思想が根本的に間違っていることが明らかになる、というメリットがあるので、書いておきたい。


【(1)最悪、事態はどこまでいくのか?】

我々の運がどこまでも悪く、東電も政府もまともなことを一切しない、という条件で考えてみると、以下のような悪夢のシナリオが考えられる。

・放射線レベルが上昇して、東電職員が全員撤退する。
・放ったらかしになった1~3号機がメルトダウンする。

ここから先が情報不足でよくわからないのだが、おおまかに言って三つの可能性がある。

Barry Brook)圧力容器の下の炉心キャッチャーが受け止めて、そこで止まる。

大前研一)再臨界になったら圧力容器が爆発し、格納容器も破損するが、そこで止まる。

今中哲二)溶けた炉心材料が格納容器の下にためている水と反応すると水蒸気爆発を引き起こす恐れがある。そうなるとチェルノブイリ事故に限りなく近づく。(今中氏は京大原子炉実験炉の助教。「熊取六人組」の一人)

1号機と3号機とは、格納容器全体に海水が入っている。大前研一は、この水が緩衝材になるので更に安全だと言っていたが、この海水は水蒸気爆発を起こさないのだろうか?

もしも不幸にも今中説が的中すれば、1~6号機の全てが吹き飛ぶことになろう。そうすると、1~3号機の炉心、更に、1~6号機に蓄積されている使用済み燃料数千本が、全て撒き散らされる。これは、チェルノブイリを遥かに上回る事故になる。アメリカが80キロ以上への退避を自国民に勧告し、ドイツやフランスが首都圏からも退避しているのは、この事態の可能性を考えているからだと思われる。

この可能性を排除できないのであれば、首都圏からでも、若い人で、退避できる人は退避した方が良い。既に述べたように、胎児、赤ちゃん、幼児は、できるだけ逃げたほうが良い。

逆に、60歳以上の人は、元気を出して、働いて社会の機能を保持し、若い人々を守ってほしい。何しろ、あなたがたの世代がこんなものを日本に設置して回ったので、こんなことになったのだから。


【(2)事態はどうなっているのか?】

ハッキリ言って、どうなっているのか誰にもわかっていない、というのが答である。放射線が凄くて近づけず、その上、計器がほとんど壊れているので、現場の作業員も、何が何だかわからずに作業している。確実なことは以下のとおりである。

(1)1~3号機で核燃料の、少なくとも半分以上が水で冷やされない状態が何日も続いている。
(2)1~6号機で、使用済燃料がむき出しになりつつあり、放射性物質が放出されている。こちらも、再臨界の可能性は否定できない。その場合には、炉内ではなく、外気中で起きる。
(3)炉心あるいは使用済み核燃料が熱くなり、水蒸気が酸化されて生じた水素により、爆発が続いている。

よくわからないのは、格納容器の下にあり、ドーナツ状の圧力抑制室という、水蒸気を水にして貯めておく場所が、壊れているかどうかである。2号機は壊れている、とされており、3号機もその可能性が指摘されている。一方で、もしそうだとすると、周辺の放射性水準が低すぎる、という原子力危険・隠蔽院の指摘も当たっているような気もする。しかし、全体として、壊れていると見たほうがよかろう。


【(3)なんとかなるのか?】

これもわからないが、

(1)自衛隊のヘリコプターと機動隊の放水車による注水が成功する→使用済み燃料が安定化。
(2)現在行われている電源回復工事が成功。
(3)緊急冷却装置などの設備が運良く動いてくれる。

という幸運が重なれば、少なくとも事態の悪化を止められる。


【(4)避難指示圏外の人は、逃げるべきか、逃げるべきでないか?】

「福島原発:逃げるべき人、逃げなくていい人」で既に述べたように、内部被曝が問題であるから、成長期の人や、今から子供をつくるつもりのある人は、できるだけ遠くに逃げたほうがよい。逃げるべき人ランキングは以下である。(9)以下は逃げないほうが良い。

(1)胎児
(2)赤ちゃん
(3)幼児
(4)児童
(5)若者
(6)これから子供を持つつもりの人
(7)子供をこれから持つつもりのない人
(8)もう子供なんか出来ない人
(9)老人
(10)後期高齢者
(11)平均余命を超えた人


【(5)どこへ逃げる?】

ベストは南半球である。これならチェルノブイリを越える事態でも当分は平気である。日本国内なら、九州くらいまで逃げないと、ウルトラ最悪を対岸の火事としてみることはできないだろう。しかし、西日本なら、何とかなるだろう。しかしパニックになって避難し、路上で寝るようなことになると、その方が健康被害が大きい。冷静に考えて自分で道を見つけるしかない。


【(6)どのくらいの放射線量なら安全か?】

安全な放射線量というものはない。どんなに微量でも、危険は危険である。ただ、微量であればその危険性が非常に低い、ということである。世の中に危険はつきものであるから、放射線から来る危険が、避難の危険を下回ると思うなら、逃げるべきではなく、上回ると思うなら、逃げねばならない。決めるのは、一人ひとりである。

それから、被害の規模は、

累積被曝量×被曝人数

で見積もらねばならない。多くの人が少量の放射性物質に晒されることは、少数の人が大量の放射性物質に晒されるのと、少なくとも同等に危険である。ところが、政府もマスコミも、この事実に目を塞いで、

「健康に影響はない水準です」

を繰り返しているが、これは、

「健康に影響があっても、原発のせいだとはバレない水準です」

という意味に過ぎない。(詳細はこちら


【(7)なぜこんなことになったのか? どうしたらよいのか?】

原子力欺瞞用語を使うからこんなことになったのである。

・危険を安全という。
・不安を安心という。
・隠蔽を保安という。
・事故を事象という。
・「長期的には悪影響がある」を「ただちに悪影響はない」という。
・無責任を責任という。

孔子は以下のように述べている。

===============
『論語』子路13-3
子路曰。衛君待子而爲政。子將奚先。
子曰。必也正名乎。
子路曰。有是哉。子之迂也。

子路は言った。「衛の君主が先生に政治をさせたとしましょう。先生はまず何をなさいますか。」
先生は言った。「必ずや、名を正す。」
子路は言った。「これだから、先生は迂遠だ。」
===============

今の事態においても、まず行わねばならないことは、迂遠に見えるかもしれないが、名を正すこと、すなわち事実に即した言葉を常に使うことである。その兆しが多少はみえていることが、光明である。

1995年の「もんじゅ」の大事故についての平岡憲夫氏の以下の言葉が全てを明らかにしている。今回の事故でもあれだけの「爆発」を「爆発的事象」と言っていた。

=============平岡憲夫「原発がどんなものか知ってほしい」より========

 しかし、こんな重大事故でも、国は「事故」と言いません。美浜原発の大事故の時と同じように「事象があった」と言っていました。私は事故の後、直ぐに福井県の議会から呼ばれて行きました。あそこには十五基も原発がありますが、誘致したのは自民党の議員さんなんですね。だから、私はそういう人に何時も、「事故が起きたらあなた方のせいだよ、反対していた人には責任はないよ」と言ってきました。この度、その議員さんたちに呼ばれたのです。「今回は腹を据えて動燃とケンカする、どうしたらよいか教えてほしい」と相談を受けたのです。

 それで、私がまず最初に言ったことは、「これは事故なんです、事故。事象というような言葉に誤魔化されちゃあだめだよ」と言いました。県議会で動燃が「今回の事象は……」と説明を始めたら、「事故だろ! 事故!」と議員が叫んでいたのが、テレビで写っていましたが、あれも、黙っていたら、軽い「事象」ということにされていたんです。地元の人たちだけではなく、私たちも、向こうの言う「事象」というような軽い言葉に誤魔化されてはいけないんです。

 普通の人にとって、「事故」というのと「事象」というのとでは、とらえ方がまったく違います。この国が事故を事象などと言い換えるような姑息なことをしているので、日本人には原発の事故の危機感がほとんどないのです。
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  1. 2011/03/17(木) 08:52:40|
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